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164号・清記

 投稿者:葱男  投稿日:2018年 4月 1日(日)09時50分23秒
返信・引用
  A部門  全86句

01●青空へ帰りたいなと椿落つ
02●赤信号を突っ切ってゆく恋の猫
03●朝ざくら紅一点の剣道部
04●雨上がり青き空映ゆ春の風
05●アラビアの歯形の小瓶蛇出づる
06●有り余る男の時間荷風の忌
07●銀杏芽吹く空へと水を吸ひあげて
08●いつになく彼岸の風の匂ふかな
09●いつの間に春を迎えし並木道
10●凍返る母と触れたる父の顔

11●「イマジン」歌ふ路上ライブや鳥雲に
12●鶯も桜を愛でてホーホケキョ
13●うつすらと開く瞼をおさへけり
14●俯いて国臣像の見る桜
15●乳母車目一杯なるさくらかな
16●占ひの当たりさうなり春の月
17●大空や太古の頭して土筆
18●奥のおくその奥のおく春満月
19●幼ならはプロレスごつこ父を焼く
20●お日さまの大きく熟れて夕霞

21●朧夜の恋の媚薬を少し増す
22●表なる産着の縫ひ目初桜
23●買い替へし箸の軽さや囀れり
24●革命と恋に目覚めし桜かな
25●彼処にも家の解体春逝けり
26●風ありて耐へる誓ひの春彼岸
27●風光る窓辺に寄する車椅子
28●木と女花満開のツややかさ
29●車椅子押す腕の皺夕ざくら
30●クレヨンで書かれしメニュー花菜風

31●月末に散り初めに遭ふランドセル
32●現実の現実離れして朧
33●漉餡を舐め春愁の終ひたる
34●小走りのサラリーマンや葱坊主
35●狛犬の阿呍を過ぎる落花かな
36●子らのこゑ薺の花のかぎりなし
37●西行の硯の水の桜かな
38●囀りや平安京の空広ぐ
39●さくらさくら遠き昔のよく透けて
40●桜花下の芝生華やぐ犬追ふ子
41●桜花悲喜こもごもに見上げおり
42●さまよへる星とならばや花の夜は
43●四月馬鹿もやし発芽をとこしへに
44●子孫へと一本桜の夢も飛ぶ
45●自転車のブレーキ音や初桜
46●しやぼん玉割れて青空新しく
47●三味線に囀り混じる先斗町
48●春宵やキュビズムに崩(く)ゆ古代面
49●春闘でベアをトラんとタヌキする
50●春眠や顔の無い絵に引き込まれ

51●知らぬ顔しつつまことの桜人
52●送別の日にやはらかき双葉かな
53●段丘をとんと河原へ水草生ふ
54●近道は草の細道花の雲
55●着メロは猫踏んじゃった土筆ん坊
56●散り初めし桜一輪髪飾り
57●菜の花忌カーナビの道途切れたり
58●菜の花を霞草代はり三回忌
59●日直の腕章ま白チューリップ
60●入学の日にぽくぽくと木魚かな
61●認知症テストは桜ネコ電車
62●バスを待つ桜吹雪のロータリー
63●花筏果ては黄泉へと流れつく
64●花の冷ゆるりと動く聴診器
65●はらはらと桜に走るエロスかな
66●春暮るる太宰好みの跨線橋
67●春の海泣きたいならば泣けばよい
68●春の風足裏にやはらかき息吹
69●春の月過る機影のアンダンテ
70●春疾風玄界灘に心の帆

71●春夕焼叱られし日のナポリタン
72●飛花落下体内とほる微電流
73●ひとりづつ一つのベンチ鳥雲に
74●雛のすし厨の湯気も温かし
75●病床に春連れ集ふ子らの声
76●ほの紅く蘖の雨降りそぼち
77●まつさらの手帳の中で大朝寝
78●満開の花に万才すべり台
79●満開を見下ろす初音響く朝
80●目が覚めてまだ恋猫になりきれず

81●桃潤む庭より宙へ旅立ちぬ
82●憂うつな靴春泥をひた歩む
83●夕桜つくづく男やもめなる
84●寄り添へる夫婦の句碑や花こぶし
85●わが夢魔に抗らひ難し春の風邪
86●ワーキングメモリいづこや春暖炉

B部門  「風船」「融」  全句

01●青空へ赤い風船が運ぶ夢
02●青空を融け出してくる初音かな
03●赤い風船割れて絵本の中に居る
04●淡雪と融け合ふ君の目尻かな
05●イコールの謎融けてゆく春の夢
06●海静か島の子供と風船と
07●産土の訛り膨らむ紙風船
08●幼子と風船取りて門くぐる
09●朧夜の入浴剤の融ける音
10●朧夜やをんなこゝろの融解点

11●凱旋の古里の凍て融けにけり
12●かざす手に融けるがごとく花明り
13●かすむ日や金融街のキッチンカー
14●紙風船人見知りする子のほつぺ
15●歓声とジェット風船球場に
16●兄弟に風船二つ空見上ぐ
17●二合半(こなから)に融け合ふふたり木の芽時
18●ゴム風船バンと弾ける鳥曇
19●紺碧の空へ叩きし紙風船
20●春光に融けをり沖の漁舟

21●誕生日の風船抱き児は夢へ
22●地平線に融ける砂漠や朧月
23●沈黙へ融けゆくピアノの音朧
24●対島へと風船は行く手を離れ
25●椿より椿へ小鳥融け入りぬ
26●つり銭に添へて風船渡さるる
27●テレビの後ろ赤い風船しぼみけり
28●天井に風船一つ無人駅
29●「融(とおる)」舞ふ曽祖父在りし春の宵
30●翔ぶように風船弾み田原坂

31●七色の風船上げるブライダル
32●逃げ水や融通無碍にほど遠く
33●蜂飛ぶや金融資産御し難く
34●罰ゲーム用の風船膨らます
35●ハト型の風船白し鎮魂歌
36●花の雲夕陽の朱に融解す
37●花街へ融けゆく影や月おぼろ
38●花嫁へ風船シャワーとめどなく
39●春の雪想ひ出融かし消へゆけり
40●風船が空に弾んでゐたりけり

41●風船とアンパンマンとじじが好き
42●風船に迫る針あり刻一刻
43●風船に何を託すや花の森
44●風船に願いを込めた春の風
45●風船に結ぶ願ひの海を越ゆ
46●風船のあふれし空や印象派
47●風船の影ゆらゆらとついてくる
48●風船のキリンは首で鳴きにけり
49●風船の少し萎んでやはらかく
50●風船の中に風船ピエロの夢

51●風船の逃ぐるがごとく父逝けり
52●風船の爆ぜて背中のまるくなり
53●風船のびいびい鳴くや開幕戦
54●風船へ父かろがろと肩車
55●風船やてんでに走る小さき子ら
56●風船や人それぞれの紐を持つ
57●風船やわたしの息の浮かびたる
58●風船やわたしひとりでできるもん
59●風船を売る風船のやうな顔
60●風船を抱えて雨の芦屋川

61●風船を吸ひ込む空へ手をかざす
62●風船を放つ小さき罪悪感
63●風船を持つ子の春はすぐそこに
64●風船を持てば迷子の心地して
65●風船を割りたき心秘め眺む
66●物質のとろりと融けて朧かな
67●ふるさとの空を風船ながれゆく
68●ぺしゃんこの風船色の濃く赤く
69●街角の金融の文字新年度
70●ミッキーの風船ゆらり夜のメトロ

71●融資係の背中温めて春日差し
72●融雪に雁木忘れし人の笑み
73●融然として花を賞で酌み交はす
74●融通の効かぬ夢なり霾れり
75●融点の右側にゐて春の風
76●融点は真夏日かなと三月某
77●雪融けて隠れし芽にも陽が当たり
78●雪融けや日溜り雀零れたる
79●夢を乗せ色とりどりの風船に

http://www.geocities.jp/gekkason/oka-asita.html

 
 

163号・清記

 投稿者:葱男  投稿日:2018年 3月 1日(木)06時26分28秒
返信・引用
  A部門  全87句

01●青鮫の遠ざかってゆく春の海
02●いくつもの墓石を越え鳥雲に
03●一休の講話を聞いて春の風
04●いつにしか古都の風格江戸の春
05●薄紅梅待遠しいという色に
06●薄氷のホース咥へる金盥
07●梅の香よ我が嗅覚衰へしか
08●エスカレーター螺旋に昇りゆく日永
09●江ノ電の駅前食堂しらす丼
10●江ノ電のハガキの列に梅一輪

11●蛙の子天然ぼけもよかりけり
12●鍵束の鍵に迷うて春灯 (はるともし)
13●風が鳴る春寒の外荒れ模様
14●風光る雲に金米糖の味
15●簪のやうに枝垂れて梅咲けり
16●関門の潮を跨いで春一番
17●黄水仙咲かせ仲よき老夫婦
18●キュルキュルと木々に鳥影風光る
19●茎立やからつぽのまま一斗缶
20●下船して人それぞれの春日傘

21●玄関の声に手をふる春の風邪
22●紅梅や民の増えたる字ありぬ
23●御所のうち喫煙場所に福貴の燈
24●コットンと水飲み鳥が春の水
25●桜東風鼻先に舌とどきけり
26●さへづりや少女フレンド回し読み
27●鰆焼くさわらないでと妻が云ふ
28●残雪の残りし山がそそり立つ
29●潮曇る沖を見てゐる寄居虫
30●受験子の固まって駅発ちにけり

31●受験子の脳は空つぽチャイム鳴る
32●春寒や口下手のまま東京人
33●春愁や心に描く海底都市
34●春泥に塗れしことも遠き夢
35●正体を知られる前に春障子
36●白壁の町並み低きひな祭
37●スーパーの試食で春に先んじる
38●盛大に雫生ましむ浅き春
39●青楼の柳は未だか夢の中
40●早春と言うふ風の中色の中

41●その一打春一番がいたずらす
42●「忖度」てふ死語生き返り亀鳴けり
43●内裏雛見下ろす阿弥陀くじの底
44●ため息が白煙のごと消え散りぬ
45●父逝きぬ問わず語らず寒椿
46●沈没船に磯巾着の孤独かな
47●土筆伸ぶ斜面まさぐる幼き手
48●吊革を十指わしわし春隣
49●鶴引くや歌ふごとくに経となへ
50●デカルトの貌となりぬる受験生

51●飛梅の宇宙を泳ぐメジロかな
52●南北をつなぐ漢江(ハンガン)薄氷
53●盗人の物音やもと春の雪
54●猫の恋いはんや人の恋をや
55●寝ころべば死んだ心地やあたたかし
56●残りたる土くれ昨日の雪だるま
57●野良猫の目の水色に春立てり
58●剥がれ落つ空の鱗やぼたん雪
59●裸木の曖昧な影膝に抱く
60●花嫁のベールをめくり春のキス

61●春風や音符に羽を二つ遣り
62●春の昼江ノ電過ぐる鳥居前
63●日当たりの良き配水所猫の恋
64●ひだまりのベンチにたむろ猫やなぎ
65●雛壇と供の祝膳迷ひ箸
66●百円に十円足して蜆汁
67●フクシマや母の草餅知らぬ子ら
68●ブラウスの胸にコサージュ歌の春
69●ブラインド越しの青空春めきぬ
70●古時計ぼんと鳴るなり春朧

71●文庫本春の鴎のごと開く
72●文集の和紙のぬくもり春灯
73●茫々と伸びし野梅の梢かな
74●ポケットに春を詰め込み鎌倉路
75●ほろほろと紅梅光り涙ほろ
76●磨き上げ艶めく銀や月朧
77●見つめらる瞳つぶらに春日さす
78●みんなして傘で突つつく薄氷
79●無回転シュートで届く春便り
80●ものの芽や残り少なき指定席

81●諸々の影を揺らして春の水
82●やはらかく光を撥ねり犬ふぐり
83●山鳩よ吾も一人の梅の客
84●許されぬ恋や紅白落椿
85●羊水に蠢く闇や春霞
86●蝋梅のただ咲ける庭空き家とす
87●わたくしは日に照らされて青き踏む


B部門  「春塵」「当」  全84句

01●朝目覚め春の埃として生きる
02●当りクジ取らぬ狸の春の夢
03●当たり前の顔して雛立ちてをり
04●当たり目をあてにあれこれ寒明けぬ
05●当て付けに仮病の猫や春埃
06●行く当てのなくて春星みな滲む
07●石狩の当別奥も春や待つ
08●薄氷指を当てれば離れけり
09●麗らかや弁当狙う鳶舞い
10●お御籤の小吉が当り春愁

11●お目当ての二月歌舞伎や七之助
12●覚悟して花粉に当る布団干し
13●欠け落つる判子の縁や春の塵
14●ガラス張りのスターバックス春の塵
15●気が付けば一人春塵舞ふ倉庫
16●草抜けば土くれ解る春埃
17●黒革の靴春塵を帰り来し
18●見当はついてゐるなり蕨採り
19●さや当ての笑顔の火花風光る
20●下萌や弁当箱にパンダの絵

21●枝垂れ梅日当る寺と当らぬと
22●ジャイアンに八つ当たりされ杉の花
23●春暁や当日券にくねる列
24●春塵に陽光の加勢ざわめきぬ
25●春塵の境内あゆむ当麻寺
26●春塵の旅の鞄に罪と罰
27●春塵の本散らばつて仮眠室
28●春塵の道を狭しと弘法市
29●春塵や当てずつぽうの恋占
30●春塵やエルサレムにも北京にも

31●春塵や円陣を解くスパイク音
32●春塵や職人街の豚テキ屋
33●春塵や通りがかりのロケ現場
34●春塵やたこ足配線ほどきをり
35●春塵や常呂ノトロにメダルあり
36●春塵や人一様に髪乱る
37●春塵や待てど開かぬ硝子ドア
38●春塵や路傍の石に詩の欠片
39●春塵や我は何もにもあらじ
40●春塵を切って団地の一輪車

41●春塵を吹き飛ばしけるメダリスト
42●春塵を巻上げている地平線
43●春塵を巻き上げ路面電車行く
44●春塵を巻くや馬上の人となり
45●順当に老いて朝湯やおらが春
46●ストーンの浅き当たりや春弾く
47●砂あらし行きて雨風一頻り
48●清明や当代一の晴れ姿
49●卒業の拳に拳軽く当て
50●宝くじ当たる予感に寒さ飛ぶ

51●溜り場にふらり立ち寄る春埃
52●突き当たる道は迷路や春遅し
53●霾るや当選番号組ちがひ
54●天気良し心地良き風春の塵
55●天金の書の春塵を払ひけり
56●電柱は地中へ消へて春の塵
57●当確の訂正画面おぼろ月
58●当番の子が菜を運ぶ春の雪
59●当分は旅の空です春一人
60●当来の世とて盛りの花ならむ

61●遠富士や望遠レンズに春の塵
62●取り敢へずビールと当たり目山笑ふ
63●野良猫の見当てる藪の蛇の色
64●春時雨かつ弁当を三個買う
65●春の風循環バスへ当てずつぽう
66●春の塵当り外れの問答あり
67●春の塵当てずっぽうの答えかな
68●春の塵冷たき風に舞ひ踊る
69●春の塵富士を隠して凪の海
70●春埃税務署に人並びけり

71●春ほこりブリキの猫の尾のらせん
72●春埃みちのくこけしの黒き髪
73●春めくや担当医師の微笑みも
74●春よ来い当たりはずれの幸ありて
75●日の当たる順にほころぶ梅の枝
76●別当を置きし太宰府梅真白
77●ヘッドフォン当てて胎児となる朧
78●弁当の桜でんぶや春隣
79●弁当の函の隙間の朧かな
80●本当に癌腫なのかと亀鳴けり

81●真っ当に咲いて山茶花赤き道
82●諸子散つて当て推量の的外れ
83●弓なりの日本列島春の塵
84●レシートの一片かごに春埃

http://www.geocities.jp/gekkason/oka-asita.html

 

162

 投稿者:葱男  投稿日:2018年 2月 1日(木)05時34分4秒
返信・引用
  A部門  全句

01●淡雪や思い出せない今朝の夢
02●息白し舌喉胃までいのちの湯
03●居酒屋へ我を呼び込む雪だるま
04●凍て雪を鳴らす長靴心地良し
05●絵屏風の虎憚りて静かなり
06●絵筆落つ白鳥の首折れやすく
07●老いひとりラジオ聴きつつ冬の山
08●老猫に少女手をふる冬の暮
09●大雪と雖も雪国ならぬ街
10●落葉して宰府に残る古都の情

11●温泉の窓越し見ゆる雪吹雪
12●欠け瓦山茶花の散る戒壇院
13●風花や新語を探す広辞苑
14●風邪に伏し看病するは犬と猫
15●カーテンのすそ凍りつきたる朝
16●寒月に窓開け放ち相模灘
17●寒月や足袋を履かざる芸者衆
18●看護婦の名札はピンク日脚伸ぶ
19●寒雀追う子等ありて春隣
20●寒昴路傍の猫の動かざる

21●冠雪の富士不動にて迷い無し
22●寒椿一夜明くれば白の中
23●寒の雨チャリまたがり急ぎ足
24●寒晴や西郷(せご)どんの目にスカイツリー
25●寒弾の瞽女の項に光さす
26●着膨れて降りる手摺の蟹歩き
27●旧年に屠蘇杯を仕舞ひ込み
28●恋文のフォントを選ぶ春隣
29●古都の冬行けどゆけども一色に
30●再会の熱燗添ふる昼の膳

31●左義長の焔の奥の息遣ひ
32●殺人に使える氷柱物色す
33●三が日終わりし頃に悔いばかり
34●三寒のトンネル抜けて来る四温
35●塹壕で綴られし詩や冬の月
36●〆も良しスタートも善し小豆粥
37●しもやけの軍手が握る竹箒
38●ジャングルの湯桶の遠く響きけり
39●収集の記念切手や室の花
40●除夜の鐘孫と一緒に撞きにけり

41●新年が最終章と廃駅舎
42●墨一色の十字架の画や風凍つる
43●隅田川てくてくてくと春隣
44●すれ違い出来ぬ橋あり鴨の群
45●成人の笑うも泣くも晴れの日や
46●生徒チーム先生チーム雪合戦
47●背負投げ彼女にされて小正月
48●戦争の予感二月の日本海
49●底冷の長き廊下を教師急く
50●空を突く小さき拳冬木の芽

51●大寒や山の小僧がメール打つ
52●大根干す足のまばらに海の青
53●大志てふ道楽は捨て日向ぼこ
54●待春の鳥獣戯画に入りゆけり
55●高砂を謡ひ一献四方の春
56●鷹の舞ふ比叡を下る修行僧
57●妻の弾くショパンの響き冬薔薇
58●都府楼の礎石に立ちて雪の舞う
59●とりどりの色のマカロン春を待つ
60●七草を諳んじてゐる園の昼

61●何なんだこの世の中は大寒
62●猫の背にとまったままの冬の蠅
63●寝正月八卦占ふウェブサイト
64●年賀状当たり一桁泣き笑ひ
65●白菜や客の吐息とつぶやきと
66●化けても着飾っても河豚は河豚
67●バス停の遥かに遠き雪の道
68●春近し新宿の鳩人よけず
69●春隣きれいな嘘を書き連ね
70●春隣妻の背中のこゑを聴く

71●春待つや窓辺に寄せる母の椅子
72●ぴしぴしと寒さ絡まる通夜がへり
73●腑に落ちぬ言葉のみ込む冬木の芽
74●冬の日の赤くて海は茫ばうと
75●ポケットに口紅春はまだ浅く
76●耳なしのゴッホに届く虎落笛
77●もの言わぬ口一文字雪だるま
78●夕餉どき月食を待つ冬木立
79●雪降(お)りて平安京のあらはるる
80●雪搔きや筋肉痛のプレゼント

81●雪が降る日本海にも雪も降る
82●雪だるま家人の数に犬の分
83●雪だるまの胴囲を測る子ども達
84●雪吊りの松の向かふにスカイツリー
85●雪の来てかなしみの夜を明るくす
86●理髪屋のシャボンの匂ひ春隣

B部門 「水仙」「初」 全句

01●青白き十指初演も冬の朝
02●足跡も飛び跳ねており水仙花
03●天地を巡る水あり水仙花
04●一輪の水仙挿して妻は出る
05●いつの間に両手ふさがる初大師
06●インド人の掛け声響く初落語
07●海光る水仙の花揺るるたび
08●駅ビルに人あふれさせ初日の出
09●幼児や初雪踏みて不思議顔
10●オリオンの輝き秀で初老説く

11●外交のニュースぴくりと水仙花
12●書初や墨摺りあがるまでの無為
13●片足で玉(ぎょく)に立つ龍初明り
14●川べりに夕べのチャイム黄水仙
15●寒声を喚声に変へ初滑り
16●黄水仙水辺にありて誰想ふ
17●珈琲の冷めやすき日や水仙花
18●金堂の鴟尾に留まる初鴉
19●饒舌な傾げた首の水仙花
20●水仙に感染したる岬かな

21●水仙の花茎に柔きひかりかな
22●水仙の影を慕いて野母崎に
23●水仙の香を楽しみて座しており
24●水仙のきりきり匂ふ空家かな
25●水仙のくの字のままに咲みにけり
26●水仙の咲く台南に降り立てり
27●水仙の精となりたるおもかげよ
28●水仙の小さき吐息庭の隅
29●水仙のひそひそ話風に乗り
30●水仙のような男になれぬのか

31●水仙や海の面の照りかげり
32●水仙や桶に放たれ咲き始む
33●水仙や男は残す優しさを
34●水仙や「乙女の祈り」洩れ来る夜
35●水仙や覗けどわれの顔歪み
36●水仙や平身低頭して接写
37●千年の樟のにほひや初詣
38●大吉のくじを尻目に初みくじ
39●束ねたる髪の重しよ水仙花
40●竹林に遅れて来たる水仙花

41●地祭や更地に守る水仙花
42●積荷から水仙の香の広がりぬ
43●哲学の顔して来たり初鴉
44●灯台へのぼりくる香や野水仙
45●成田屋と目と目で話す初芝居
46●ねんごろに練墨溶いて初仕事
47●野水仙その揺れたるは独り言
48●ばあちゃんが飴玉くれる初市場
49●白鍵を上りつめたる水仙花
50●初明りメガネ外して歳時記を

51●初イタリアンシェフの娘はグー歳と
52●初風に乗り高々とゆく鴉
53●初釜に足袋の白さや弾む声
54●初鴉つき呼ぶワタリガラスかも
55●初句会他人に解せぬ恋一句
56●初景色日暮の雲も色を添へ
57●初恋に頬を染めしや梅の花
58●初恋の海冬晴れて沖に舟
59●初恋やあはあは消ゆる春の雪
60●初写真抱かれて眠る子を囲み

61●初空へ龍のかたちの波しぶき
62●初空や国境線に兵わづか
63●初旅や鴨居に空の衣紋掛け
64●初旅やサンライズ瀬戸から日の出
65●初富士や朝霧高原陽を浴びて
66●初詣絵馬一杯の願い事
67●初詣投げる賽銭願重し
68●初雪に腰を痛めて床に入る
69●初雪の流れつきたる夜に佇つ
70●初雪を握りしめては誓ふ朝

71●初雪をはらふワイパーはしやぎゐる
72●初夢や筑紫富士より海へ翔ぶ
73●初夢や雪しんしんと北酒場
74●膝折りて瓦礫にそつと水仙花
75●日の丸を立てて来るバス初雀
76●殖えるず減らず四人(よたり)の家族初笑
77●踏み足を前になぞるや水仙原
78●紅をさす如く黄を置く水仙花
79●包丁を研ぐ山姥の初噺
80●待人来ず失物出ずの初御籤

81●読初や本屋のソファ心地良き
82●落日の赤くて水仙の花白くて
83●露店はや片付いてゐる初詣


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161号・清記

 投稿者:葱男  投稿日:2018年 1月 1日(月)06時26分17秒
返信・引用
  A部門  全77句

01●熱燗にすべてを溶かし眠りたり
02●あの中に犯人潜む冬銀河
03●息白し紫煙と競い合う如く
04●凍星や女に出会うために来て
05●院長の手元から鳩クリスマス
06●うつし世の闇を切り取る冬の雷
07●風花やガラシャの墓の傷癒ゆる
08●飾り無き樹々に聖なるしじまかな
09●寒暁に淋しがりやの百羽ほど
10●元旦にセンターライン暫し闊歩

11●菊枯れて六郷満山黙の中
12●牛乳パックより氷海の吠ゆる音
13●クリスマスあちらこちらで楽しげに
14●クリスマス刺し子布巾の赤き糸
15●木枯らしを部屋にこもって聞き入りぬ
16●極寒の屋台にアイラ島の酒
17●極月の酒場昭和の男たち
18●極月の喉ぴりりと生姜飯
19●雑音の無い人うれしクリスマス
20●猿山のボスの眼に寒夕焼

21●七三に分けて天皇誕生日
22●霜の夜の恋の毒消しほろほろと
23●シャッターの上がらぬもあり街師走
24●十二月八日木彫りの象の牙の折れ
25●笑点のテーマソングや大根炊く
26●女子校へマフラーの列はしゃぎけり
27●白黒のつかぬ諍ひ懐手
28●水仙の雨滴を朝の光かな
29●少しだけ枯野の匂ひわが袂
30●瀬戸内の朝日の匂ふみかんかな

31●鷹の目の地球に沿うて滑りけり
32●宝くじ寒さに震え夢心地
33●短日の獏黙々と歩きけり
34●段ボール紙の馬小屋聖夜劇
35●茶の花や城に外国人並ぶ
36●凍結の路面しかりと松葉杖
37●遠ざかる列車の灯り白手套
38●冬眠を遅らせ参る里の熊
39●ドラムスのバチ狂ほしき寒夜かな
40●鳥の巣の一つ残して冬木かな

41●日記果つとりあえずまだ生きている
42●裸木の曲がりくねりのオブジェかな
43●初釜の蹲踞で下駄つんのめり
44●飛行機雲凍てて南北区切りけり
45●日雇ひの手配師ぬらり息白し
46●品格を問ふ唇や冬ざるる
47●福耳も千切れんばかり冬の朝
48●梟や目玉の中へ闇を吸ふ
49●ふところの猫の温みも聖夜かな
50●冬枯れて土中に潜む虫むしよ

51●冬銀河老いてこそ追ふ夢もあり
52●冬銀河屋根に屈折望遠鏡
53●冬の暮東京タワーにまだ日差
54●冬の月天文台は遥か下
55●冬のバスすずめ笑いの女子高生
56●冬の星予感当たりしこと二回
57●冬の夜屋台ラーメンうまし!!
58●冬帽子に小さきハートのやうな穴
59●振り返る吾に枯野の囁ける
60●ブロツコリ巨人大樹を齧るごと

61●誉められず叱られもせず去年今年
62●満身に夜のしじま受く年の暮
63●水鳥の頭上げ下げ去年今年
64●桃色に手のひら染めぬ冬椿
65●やぶ砂場まつや更科晦日蕎麦
66●闇黒に聖樹華やぐ宇宙船
67●夕凍むやアスファルト突く曲芸師
68●床を蹴るバッシュの音や冬の虹
69●雪女生身の女よりはいい
70●ゆく年や夢から醒めて夢と知る

71●湯煙を乳房に纏ひ山眠る
72●湯豆腐を今夜二人でつつこうか
73●呼び鈴の一度だけ鳴りしづり雪
74●礼状の届く年の瀬風の止む
75●我が家では冬 犬は内猫は外
76●笑ひ給へ酉のバトンの戌の年
77●吾に来よ冬のてふてふ来て止まれ

B部門 「年の夜」「足」 全73句

01●飽きましたホテル暮らしの年の夜
02●足跡に足乗せてゆく深雪晴
03●足繁く通った浜に降る雪ぞ
04●足代を上手に使ひ翁の忌
05●足遠くなりし古里年の夜
06●足長き少女走るや息白し
07●足延ばす島の食堂名は鰆
08●足元に冬の蠢く仁王像
09●足元に列なすポインセチアかな
10●足元のおぼつかぬらし雪の屋根

11●足寄から冬将軍も下り来る
12●熱燗や足らぬ会費に頬の染む
13●板の間に足袋を滑らす弓捌き
14●一合で足れる寝酒や除夜の鐘
15●いつせいに届く四文字除夜の鐘
16●一片の足りないパズル冬の星
17●運慶の彫り出す足や鐘冴ゆる
18●絵日記を拾い集めて年の夜
19●大晦日65回も無事越えて
20●思ひ出の星屑となる年の夜

21●かき揚げのふやけてゆける除夜の鐘
22●風花や壱の字薄れ下足札
23●数え日といへど付け足すことはない
24●勘定に入れぬ年末〆ラーメン
25●寒鰤の照り焼き母の大晦日
26●禁酒から解き放たれて年の夜
27●小走りに兄の背を追ふ除夜詣
28●混浴の足湯にありて冬温し
29●幸せを少し想いて年の夜
30●白足袋の尼僧の背(そびら)揺るぎなき

31●ジョバンニの足跡たどり冬銀河
32●除夜の鐘地震大国日本の
33●除夜の鐘撞きたし逸る子のリズム
34●聖堂に尺八響く年の夜
35●セーターに寝不足の顔突っ込みぬ
36●雪原を行くには息が足りなくて
37●その人はそこに居るらし年の夜も
38●足袋はいて昭和の人となりにけり
39●足らぬこと数多ありけり鶴渡る
40●足ることを知りて晩節葱甘し

41●つくづくに逃げ足早き十二月
42●灯油売るつれなき声や年の夜
43●年の暮安売り店まで足伸ばす
44●歳の瀬をゆらとゆらりと大掃除
45●年の瀬やしかして島は休漁日
46●年の夜の喧嘩納めや父と母
47●年の夜の消失点や大鳥居
48●年の夜の塵つかのまの星となる
49●年の夜の煮え切らぬ仲箸洗ふ
50●年の夜の見果てぬ夢の膝小僧

51●年の夜はつかの雨を待つ気なり
52●年の夜や朝まで回る山手線
53●年の夜や大欠伸する詐欺師たち
54●年の夜や終末時計なほ進む
55●年の夜や旅人として星数へ
56●年の夜や父の遺影の薄埃
57●年の夜やパンダは夢に森を行く
58●年の夜や灯に照る鱗龍の門
59●年の夜女々しい曲を聴いている
60●年の夜ラーメン売りの声響く

61●ハイヒール一足分の榾火かな
62●初霰仏足石に転げ込む
63●早足の往来したる聖樹の灯
64●飛行場のはるかに雲や年つまる
65●日脚伸ぶ靴は一足づつ揃へ
66●二人分足るか足らぬか年用意
67●冬の朝散歩の足は小刻みに
68●平成のそろり消え行く年の夜
69●まつさらな足もて嫁ぐ雪の朝
70●水鳥の足跡すこしづつ薄る

71●もう一品年の夜迫る厨ごと
72●雪の華一本足のフラミンゴ
73●竜の玉一言足りぬ子の言葉
74●列成すやいつもの店の年の夜

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160号・清記

 投稿者:葱男  投稿日:2017年12月 1日(金)06時29分12秒
返信・引用
  A部門  全87句

01●秋空やハルカスは北斎の青
02●朝霧の細道かき分け三江線
03●朝練の桜落葉を踏みゆけり
04●雨だれの音を集める花八手
05●石畳光りて寒椿の寺
06●何処より来たる名もなき大落葉
07●一切を蔵して黙の枯木山
08●失せ物のこんな所に隙間風
09●遠景に海近景に石蕗の花
10●落葉踏む静けさの中物思ふ

11●外客と終ひ弘法値厭はず
12●学問を離れ白髪の文化の日
13●風花の見つめないでと云ふがごと
14●風花や古書肆の額に謂はれあり
15●カーテンを開けても暗し石蕗の花
16●神渡し千は千尋にもどりけり
17●枯蘆や現実感なく月白く
18??枯葉踏み枯葉色して猫来たり
19●枯葉舞ふ風に身任せ吹かれ行く
20●寒林を支へたる影ぎざぎざと

21●刻まるる石より絵かきうた小春
22●期限切れしたるカイロのほのぼのと
23●着ぶくれて忘れ物したやうな顔
24●キャバレーへ焼き芋買って行きし日も
25●競売の五坪の更地冬に入る
26●銀杏のうす皮をむく忌なりけり
27●境内に仮設の高座冬紅葉
28●月光を掬ふには手が小さくて
29●仔犬つと走り病葉渇き音
30●「こどもランド」に少子化なんぞ小六月

31●小春かな只今源泉掘削中
32●小春日に黙して立てる楡の木々
33●小春日のテニスコートに影二つ
34●小春日や行脚の僧はスニーカー
35●小春日やカーテン開けて本を読む
36●小春日やきらきら光る試験管
37●子らのこゑ吸ふてしづかな雪のこゑ
38●混濁の術後の母に冬の風
39●山茶花やおはようただいまありがとう
40●さようなら最後の紅葉江の川

41●しぐるるやきりなく雨の輪のはじけ
42●時雨るるやサドルを覆うポリ袋
43●しゅんしゅんとお湯湧く音やストーブに
44●消防車逃げだしたのは雪豹です
45●セイシェルの夕陽のやうな蜜柑かな
46●整備士の顔の油や冬の鳥
47●空仰ぐ時は胸張りかいつむり
48●絶えず湧く冬の泉の神さびる
49●黄昏を乗せて冬濤遥かより
50●玉掴む龍のかぎづめ空也の忌

51●竹林の明るき小春日和かな
52●小さき目の知恵の限りや鳥渡る
53●てくてくと歩くあちこち菊花展
54●遠き山冬めく空にそそり立つ
55●年忘れ昭和末期と孫が言ふ
56●土鍋のこと父に聞きたし冬の星
57●飛石を 小春日和と擦れ違ふ
58●「どん底」の幕間に食らふ石焼き芋
59●習ひ事減らす冬日や母子像
60●化けて出て猫とならむや紅葉の夜

61●走り根のくの字くの字や冬日影
62●裸木や教えることは何もない
63●ビスケットにあまたの小穴笹子鳴く
64●河豚刺を梳けば白磁の色づきぬ
65●冬苺こぶしをしやぶる赤んぼう
66●冬梅やいい奴はみな先に逝き
67●冬銀河億光年へ鈴響く
68●冬銀河吐息大きく帰りけり
69●冬蝶は黄色が宜し日の表
70●冬薔薇ぼんやり見える程の良さ

71●冬の雲そのまま流れ小鳥翔ぶ
72●冬の虹映して牛の目は濡れて
73●冬の薔薇特別な日のアイライン
74●冬めく日集ふ仲間の今昔
75●便所より筑波の見えて寒日和
76●榾くべて山の男の車座に
77●骨一本折れたる傘や片時雨
78●ほろほろと豆富崩れて燗の酒
79●マフラーの吹かるるままに頑なに
80●三島忌の記憶を刻む砂時計

81●木菟の透視さながら凝らしをり
82●紅葉散る十円玉に平等院
83●紅葉晴きみは歌ひにでかけたり
84●雪降れば牛は柔らかな暗闇
85●行く秋の高原列車山近し
86●リーゼントびしっと決めて着ぶくれり
87●をみなごの耳朶の血潮や冬もみぢ

B部門 「ショール」「鉄」 全86句

01●赤信号君のショールに手を伸ばし
02●居酒屋に鉄斎の絵や時雨くる
03●うなじ見せ若草色のショールかな
04●襟巻きのほかほか嬉しバスを待つ
05●大きめの肩掛まとひうつらうつら
06●角打ちの漁師ショールの頬被り
07●風花や鉄瓶滾る隠れ里
08●肩掛けに顔を潜らす幼き子
09●肩掛けを粋にまとった冬めく日
10●肩掛けをしたまま孫の肩たたき

11●肩掛けをひよいと乗せ行く割烹着
12●肩掛けやほつれ毛にある白きもの
13●ガード下カランと凍つる鉄パイプ
14●枯芝を統べ鈍色の鉄亜鈴
15●寒月へ吠ゆ独房の鉄格子
16●寒晴れや国鉄生まれの古電車
17●傷口に鉄の味する神の留守
18●狐火や鉄の味する血をすすり
19●黒ショール演技巧者のエキストラ
20●轟音鉄路にこだます夜汽車かな

21●凩や煙立たない鉄の街
22●極貧に生きて桃色ショールかな
23●国境は鉄橋にあり革衣
24●時雨るるや鉄のオブジェに瑕二つ
25●女優めくショールの君や星さやか
26●ショールして急告の訃を回しけり
27●ショール巻く尼僧と出合ふ先斗町
28●ショール巻く急に人肌恋しくて
29●ショールもて守らむ君がマッチの火
30●すぐ乾く稚の涙や鉄道歌

31●芒原一直線の鉄路かな
32●雀色時ストールの首細し
33●ストーブに焼(く)べる鉄道唱歌かな
34●ストールをおさえ地下鉄乗る女
35●ストールを翼展ぐるやうにして
36●ストールを巻いて銀座の人となる
37●スマホ繰る優先席の赤ショール
38●それはそれで形見のショールぎゅっと巻く
39●大陸を跨ぐ鉄橋牡蠣喰らふ
40●箪笥より見つかる母のショールかな

41●地下鉄へ落葉ころころ吹かれ落つ
42●地平線へ延びる鉄路や冬の星
43●地平まで続く鉄塔雪晴るる
44●D51は鉄の塊風花す
45●デゴイチや秋を切り裂く鉄の道
46●鉄火丼の赤き山脈石蕗の花
47●鉄橋に行き交ふ列車寒の月
48●鉄切りの音焦げてをり雪催
49●鉄琴のいともきらびやかに響く
50●鉄柵に無言の鴉吊るし柿

51●鉄錆の効や黒豆箸映る
52●鉄ちゃんと言われて雪の列車待つ
53●鉄道に思ひ出残す卒業期
54●鉄道を乗り継ぎて行く冬の旅
55●鉄鍋のぬくもり求め大根煮る
56●鉄針の滲む刺青冬の蝶
57●鉄瓶に家督の重さ炭をつぐ
58●鉄瓶に湯気立ちそぞろ口ゆるむ
59●鉄瓶のでんと居座る雪の宿
60●鉄棒に下午の男ら木の葉散る

61●鉄棒の匂いや校庭冬ざるる
62●鉄棒の端にマフラー結はへあり
63●鉄棒や冬夕焼のおしやべり
64●冬帝や鉄分サプリのつぶ数多
65●何や彼や一巻きにして赤ショール
66●西鉄のまた泣き所冬の霧
67●にび色の空を欺く緋のショール
68●廃駅舎鉄路の向かふ冬の虹
69●廃線の錆し鉄路や冬蒲公英
70●廃線の鉄路錆しや枯葉舞ふ

71●白髪の黒きひとすじ毛のショール
72●初雪に肩掛けの列八卦置き
73●膝掛けを肩掛けにすや女子高生
74●ひと日終へ箱に納まる白ショール
75●冬ざれの鉄条網や基地の島
76●ふる里へ向かふ鉄路や冬帽子
77●冬ショール母のにほひのもう僅か
78●冬晴れの鉄腕アトム空高く
79●ふんわりと母の手編みのショール巻く
80●鉄道員(ぽっぽや)の娘(こ)への面影雪の夜
81●歩道橋鉄色滲む冬の星
82●マフラーを替えて今週始まりぬ
83●ほろ酔ひの真紅のストール歌ひけり
84●見上ぐればショールの母の眼の赤き
85●店仕舞終へてシヨールの女将かな
86●むき出しの鉄筋のある冬木立



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Re: こちらこそ!

 投稿者:葱男  投稿日:2017年11月14日(火)18時28分8秒
返信・引用
  葉脈に土の心音雪解風

イイ句ですねえー(^。^)

スライトリマッドさんへのお返事です。

> なるほど。ほんと春の季語のほうがぴったりですね?もしN捜査官が eletcro-bio-mechanical neutral transmitting zero synapse repositioner(ピカッ)を持ってたら、みんなに目くらまし→記憶を消し→春の投句に出す→きっと文句なしの第一席!私もきっと◎つけるでしょう。Men in BlackⅡだったかな。あの頃のトミーリージョーンズ若かった…。でもそれを上回る句が出て来る可能性もありますねえ。

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こちらこそ!

 投稿者:スライトリマッド  投稿日:2017年11月13日(月)00時06分16秒
返信・引用
  なるほど。ほんと春の季語のほうがぴったりですね?もしN捜査官が eletcro-bio-mechanical neutral transmitting zero synapse repositioner(ピカッ)を持ってたら、みんなに目くらまし→記憶を消し→春の投句に出す→きっと文句なしの第一席!私もきっと◎つけるでしょう。Men in BlackⅡだったかな。あの頃のトミーリージョーンズ若かった…。でもそれを上回る句が出て来る可能性もありますねえ。  

スマちゃん、ありがとう!

 投稿者:葱男  投稿日:2017年11月10日(金)11時59分10秒
返信・引用
  FBの非公開グループで同じ提案をして、ラスカルさん、清一さん、秀子さん、ぼくるさんと有意義な意見交換ができました。

この句は二句一章の句と捉えると、やはり季語の薄紅葉はつき過ぎ、かと言って、読み下しにすると詩情が薄れるので、ベストは春の季語「雪解風」を季語におけば、句意も損なわず、つき過ぎにもならず、なかなか良い句になるだろう、という結論に達しました。

私も、薄紅葉では木と大地が繋がったいる自然全体の生命力を表すにはやや力不足だったと思います。
薄紅葉のイメージは、身体中にきれいな血が行き渡って、体が暖まり、頬に赤みがさす、そんな命のイメージでしたが、薄紅葉はまたたくまに紅葉し、やがて落葉して地に枯葉となる事を思うと、「雪解風」の清新な生命力がよく似合うと思います。

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うすもみぢ

 投稿者:スライトリマッド  投稿日:2017年11月 9日(木)12時47分10秒
返信・引用
  すま@霧島です
興味深くお二人のやり取り拝見しました。葱部長の句をたしか私も〇で頂きました。選句の時深く考えずに直感めいたもので採ることが多く、ラスカルさんの論理的なご指摘もなるほど鋭い、さすがだな!!!と感じました。形(語の並べ方)から見たとき、季語を後ろに置くと切れができて、いわゆる『取り合わせ』っぽい感じですが、意味的には『一物仕立て』っぽい。ん~これって葱チャンプルー句じゃ?!と。取り合わせにすると、ラスカルさんおっしゃる通り、薄紅葉と葉脈がつきすぎるし、一物仕立てにして普通の語順で並べると字余りでうまくいかない…そこで日本人の日本語的発想で並べられたのではないかというのが、私の推理です。
私は現在塾で英語を教えていて、受験生の英作文指導などしてますが、日本語はどこから始めても意味は通じるし主語も言わないことが多い、冠詞もなく複数形も気にしないという結構あいまいな言語です。でも英語は皆さんご存知の通り、守らなければならないルールがありますよね。詩型である俳句も自由律でない限り、やはり守らなければならない縛りがあるような気がします。わかる人だけわかってもらえたらいいでなく、私は多分にその傾向が強いので反省しきりですが、やはり誰からも認めてもらえる句を目指すべきと思います。なんて、投句サボってばかりの私は説得力ないですが~すみません。今回のお二人の対話、読ませていただいて大変勉強になりました。ありがとうございました。
 

ラスカルさんとの対話

 投稿者:葱男  投稿日:2017年11月 8日(水)06時23分35秒
返信・引用 編集済
  ラスカルさんと私のプライベートなメッセージのやりとりを、「丘ふみ談話室」に転載することにしました。

B部門で一席になった葱句
「葉脈に土の心音うすもみぢ」についての真剣で面白い対話です。

*****

■ラスカル

葱男さん、こんばんは。いつもお世話になり、どうもありがとうございます。B部門での第一席、おめでとうございます!\(^o^)/
第一席の句にいちゃもんを付けるようで恐縮なのですが・・・。
「葉脈に土の心音うすもみぢ」は、発想はとても素晴らしいのですが、俳句の形に問題があります。この形は「五七・五」ですので、句意としては「何かの葉脈+うすもみぢ」という意味になります。それでは即き過ぎですので、頂くことが出来ませんでした。
おそらく、「薄紅葉の葉脈」なのではないかと思います。でしたら「葉脈→薄紅葉」という語順では違和感があります。「薄紅葉→葉脈」という語順にするべきでしょう。
「薄紅葉その葉脈に土の心音」が、形としてはベストです。ただし、下五が字余りになりますので、推敲する必要がありますね。
この句が第一席にになったのは、発想が素晴らしいからです。それについては異論はありません。ただし、いくら素晴らしい発想でも、俳句としての形を成さなければ、他の句会では評価されません。葱男さんが「井の中の蛙」にならないようにと、敢えて申し上げた次第です。どうか、お気を悪くなさらないでくださいね。
葱男さんの句は、発想は素晴らしいのですから、表現技術を磨けば、「鬼に金棒」だと思います!(^^)

■葱男

すみませんが、私は「俳句の形」を形骸化する傾向をあまり好みません。

ラスカルさんが俳句とはどんなものか、という事を俳句に興味を抱いて学びにくる生徒さんたちに教える時に、「俳句の形」をしっかりと教えることは、先生、師匠、宗匠という立場の人にとって一番大事なことだと思います。

例えば署の先生がまず楷書、行書、草書の形を教えるのと同じです。

でも私は、あまり基本に囚われず、人より早く「現代書」という分野に興味を抱き、理解のある師匠の元で篆書、すなわち絵画的な象形文字に興味を持って学び始めました。

俳句に於いても最初に私を俳句の道に誘ってくれた宗匠は、実にいかがわしい、コピーライター出身の、それも自由律から俳句に入った先生だったので、初めから前衛俳句と俳句前衛の違いなどという話から俳句を学び始めました。

ですから「百鳥」に10年在籍しても自分の考え方を変えなかったし、そのためなのか、才能が無かったのか、とにかく宗匠の好みそうな形の句を詠むという意識は無かったので同人にはなれませんでした。

奈々ちゃんはすぐに。四、五年で二十代半ばで同人に推薦されました。
今、彼女は俳句の壁にぶつかっているのかもしれません。

彼女がセレネッラで詠む句と「百鳥」で詠む句は、まるで形が違います。彼女は俳句の形は十分に理解していると思います。高校の時から私より長い句歴があるのですからね。

でも、彼女は今苦しんでいる。それは結果が出ない、賞が取れない、俳句界からちゃんと、認められないからだと思います。

私は俳句界から認められたいと思ったことはほとんどありません。
現代書を描くように、私の表現したい事を私の形で描きたいだけなんです。

一席になった句の文字の並びについてはラスカルさんの言わんとする意味と論拠はよく分かります。

ラスカルさんが私の事を良い方向に指導してくれようとしてくれていることもよく分かります。

葉脈に~土の心音

この並びは葉脈に吸い上げられる晩秋の水が血で、土が心臓だという意味です。
血脈の心拍のようなイメージです。
その血が体を維持、変化させているという、生命体の哲学だとおもっています。

並びとしては擬人化ですね。

それが私の俳句の形かもしれません。

大串章さんにはついに理解されませんでした。??

俳句としての形を成していない、とは、実は思っていません。
一番最初に話は戻りますが、俳句の形を固定化するような方向を私は好みません。

そんな人間だと思わなかったですか?

だって、私は「葱男」ですよ(^。^)

■ラスカル

あ~、そういう意味ではなくて・・・(^_^;)
葱男さんが言いたいのは「薄紅葉の葉脈」ですよね? それを「葉脈→薄紅葉」という語順にしてしまうと、正しく読み取ってもらえない、ということです。
句意を正しく読み取ってもらえないのは、不本意ではないかと思いましたので、つい口をはさんでしまいました。お気に障ったようでしたら、ごめんなさい。深くお詫び申し上げます。

■葱男

そうだ、この二人の対話をそのまま「丘ふみクラブ」のみんなに読んでもらうのも意味があるかもしれません。

ラスカルさんが良ければ談話室に転載して、興味ある人たちに読んでもらう、というのはどうでしょう?

全然気を悪くなんてしてませんよ??

■ラスカル

談話室への転載、もちろん構いません。
「俳句界から認められたい」とか、そういう問題ではなくて、僕が言いたかったのは「句意を正しく表現する」ということですよ~! 語順はとても大切です。皆さんにとっても勉強になるのではないかと思います(^^)

■葱男

ありがとうございます。

語順の問題について、みんなの意見や考え方を聞いてみましよう!

ここまでの対話を、丸ごと全部転載しましょう!

■ラスカル

丘ふみ句会は、「自由闊達」がモットーですから、おそらく僕の意見が却下されるでしょう~(苦笑) 「そんな細かいことに拘るな!」とか言われたりして・・・(^_^;)
でも、どんな遊びであっても、最低限のルールはあるでしょう? 自由闊達なのはとても魅力的なのですが、やはり、基本をきちんと学ぶことも必要だと思います・・・。

■葱男

それはその通りです。(^。^)

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