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161号・清記

 投稿者:葱男  投稿日:2018年 1月 1日(月)06時26分17秒
返信・引用
  A部門  全77句

01●熱燗にすべてを溶かし眠りたり
02●あの中に犯人潜む冬銀河
03●息白し紫煙と競い合う如く
04●凍星や女に出会うために来て
05●院長の手元から鳩クリスマス
06●うつし世の闇を切り取る冬の雷
07●風花やガラシャの墓の傷癒ゆる
08●飾り無き樹々に聖なるしじまかな
09●寒暁に淋しがりやの百羽ほど
10●元旦にセンターライン暫し闊歩

11●菊枯れて六郷満山黙の中
12●牛乳パックより氷海の吠ゆる音
13●クリスマスあちらこちらで楽しげに
14●クリスマス刺し子布巾の赤き糸
15●木枯らしを部屋にこもって聞き入りぬ
16●極寒の屋台にアイラ島の酒
17●極月の酒場昭和の男たち
18●極月の喉ぴりりと生姜飯
19●雑音の無い人うれしクリスマス
20●猿山のボスの眼に寒夕焼

21●七三に分けて天皇誕生日
22●霜の夜の恋の毒消しほろほろと
23●シャッターの上がらぬもあり街師走
24●十二月八日木彫りの象の牙の折れ
25●笑点のテーマソングや大根炊く
26●女子校へマフラーの列はしゃぎけり
27●白黒のつかぬ諍ひ懐手
28●水仙の雨滴を朝の光かな
29●少しだけ枯野の匂ひわが袂
30●瀬戸内の朝日の匂ふみかんかな

31●鷹の目の地球に沿うて滑りけり
32●宝くじ寒さに震え夢心地
33●短日の獏黙々と歩きけり
34●段ボール紙の馬小屋聖夜劇
35●茶の花や城に外国人並ぶ
36●凍結の路面しかりと松葉杖
37●遠ざかる列車の灯り白手套
38●冬眠を遅らせ参る里の熊
39●ドラムスのバチ狂ほしき寒夜かな
40●鳥の巣の一つ残して冬木かな

41●日記果つとりあえずまだ生きている
42●裸木の曲がりくねりのオブジェかな
43●初釜の蹲踞で下駄つんのめり
44●飛行機雲凍てて南北区切りけり
45●日雇ひの手配師ぬらり息白し
46●品格を問ふ唇や冬ざるる
47●福耳も千切れんばかり冬の朝
48●梟や目玉の中へ闇を吸ふ
49●ふところの猫の温みも聖夜かな
50●冬枯れて土中に潜む虫むしよ

51●冬銀河老いてこそ追ふ夢もあり
52●冬銀河屋根に屈折望遠鏡
53●冬の暮東京タワーにまだ日差
54●冬の月天文台は遥か下
55●冬のバスすずめ笑いの女子高生
56●冬の星予感当たりしこと二回
57●冬の夜屋台ラーメンうまし!!
58●冬帽子に小さきハートのやうな穴
59●振り返る吾に枯野の囁ける
60●ブロツコリ巨人大樹を齧るごと

61●誉められず叱られもせず去年今年
62●満身に夜のしじま受く年の暮
63●水鳥の頭上げ下げ去年今年
64●桃色に手のひら染めぬ冬椿
65●やぶ砂場まつや更科晦日蕎麦
66●闇黒に聖樹華やぐ宇宙船
67●夕凍むやアスファルト突く曲芸師
68●床を蹴るバッシュの音や冬の虹
69●雪女生身の女よりはいい
70●ゆく年や夢から醒めて夢と知る

71●湯煙を乳房に纏ひ山眠る
72●湯豆腐を今夜二人でつつこうか
73●呼び鈴の一度だけ鳴りしづり雪
74●礼状の届く年の瀬風の止む
75●我が家では冬 犬は内猫は外
76●笑ひ給へ酉のバトンの戌の年
77●吾に来よ冬のてふてふ来て止まれ

B部門 「年の夜」「足」 全73句

01●飽きましたホテル暮らしの年の夜
02●足跡に足乗せてゆく深雪晴
03●足繁く通った浜に降る雪ぞ
04●足代を上手に使ひ翁の忌
05●足遠くなりし古里年の夜
06●足長き少女走るや息白し
07●足延ばす島の食堂名は鰆
08●足元に冬の蠢く仁王像
09●足元に列なすポインセチアかな
10●足元のおぼつかぬらし雪の屋根

11●足寄から冬将軍も下り来る
12●熱燗や足らぬ会費に頬の染む
13●板の間に足袋を滑らす弓捌き
14●一合で足れる寝酒や除夜の鐘
15●いつせいに届く四文字除夜の鐘
16●一片の足りないパズル冬の星
17●運慶の彫り出す足や鐘冴ゆる
18●絵日記を拾い集めて年の夜
19●大晦日65回も無事越えて
20●思ひ出の星屑となる年の夜

21●かき揚げのふやけてゆける除夜の鐘
22●風花や壱の字薄れ下足札
23●数え日といへど付け足すことはない
24●勘定に入れぬ年末〆ラーメン
25●寒鰤の照り焼き母の大晦日
26●禁酒から解き放たれて年の夜
27●小走りに兄の背を追ふ除夜詣
28●混浴の足湯にありて冬温し
29●幸せを少し想いて年の夜
30●白足袋の尼僧の背(そびら)揺るぎなき

31●ジョバンニの足跡たどり冬銀河
32●除夜の鐘地震大国日本の
33●除夜の鐘撞きたし逸る子のリズム
34●聖堂に尺八響く年の夜
35●セーターに寝不足の顔突っ込みぬ
36●雪原を行くには息が足りなくて
37●その人はそこに居るらし年の夜も
38●足袋はいて昭和の人となりにけり
39●足らぬこと数多ありけり鶴渡る
40●足ることを知りて晩節葱甘し

41●つくづくに逃げ足早き十二月
42●灯油売るつれなき声や年の夜
43●年の暮安売り店まで足伸ばす
44●歳の瀬をゆらとゆらりと大掃除
45●年の瀬やしかして島は休漁日
46●年の夜の喧嘩納めや父と母
47●年の夜の消失点や大鳥居
48●年の夜の塵つかのまの星となる
49●年の夜の煮え切らぬ仲箸洗ふ
50●年の夜の見果てぬ夢の膝小僧

51●年の夜はつかの雨を待つ気なり
52●年の夜や朝まで回る山手線
53●年の夜や大欠伸する詐欺師たち
54●年の夜や終末時計なほ進む
55●年の夜や旅人として星数へ
56●年の夜や父の遺影の薄埃
57●年の夜やパンダは夢に森を行く
58●年の夜や灯に照る鱗龍の門
59●年の夜女々しい曲を聴いている
60●年の夜ラーメン売りの声響く

61●ハイヒール一足分の榾火かな
62●初霰仏足石に転げ込む
63●早足の往来したる聖樹の灯
64●飛行場のはるかに雲や年つまる
65●日脚伸ぶ靴は一足づつ揃へ
66●二人分足るか足らぬか年用意
67●冬の朝散歩の足は小刻みに
68●平成のそろり消え行く年の夜
69●まつさらな足もて嫁ぐ雪の朝
70●水鳥の足跡すこしづつ薄る

71●もう一品年の夜迫る厨ごと
72●雪の華一本足のフラミンゴ
73●竜の玉一言足りぬ子の言葉
74●列成すやいつもの店の年の夜

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160号・清記

 投稿者:葱男  投稿日:2017年12月 1日(金)06時29分12秒
返信・引用
  A部門  全87句

01●秋空やハルカスは北斎の青
02●朝霧の細道かき分け三江線
03●朝練の桜落葉を踏みゆけり
04●雨だれの音を集める花八手
05●石畳光りて寒椿の寺
06●何処より来たる名もなき大落葉
07●一切を蔵して黙の枯木山
08●失せ物のこんな所に隙間風
09●遠景に海近景に石蕗の花
10●落葉踏む静けさの中物思ふ

11●外客と終ひ弘法値厭はず
12●学問を離れ白髪の文化の日
13●風花の見つめないでと云ふがごと
14●風花や古書肆の額に謂はれあり
15●カーテンを開けても暗し石蕗の花
16●神渡し千は千尋にもどりけり
17●枯蘆や現実感なく月白く
18??枯葉踏み枯葉色して猫来たり
19●枯葉舞ふ風に身任せ吹かれ行く
20●寒林を支へたる影ぎざぎざと

21●刻まるる石より絵かきうた小春
22●期限切れしたるカイロのほのぼのと
23●着ぶくれて忘れ物したやうな顔
24●キャバレーへ焼き芋買って行きし日も
25●競売の五坪の更地冬に入る
26●銀杏のうす皮をむく忌なりけり
27●境内に仮設の高座冬紅葉
28●月光を掬ふには手が小さくて
29●仔犬つと走り病葉渇き音
30●「こどもランド」に少子化なんぞ小六月

31●小春かな只今源泉掘削中
32●小春日に黙して立てる楡の木々
33●小春日のテニスコートに影二つ
34●小春日や行脚の僧はスニーカー
35●小春日やカーテン開けて本を読む
36●小春日やきらきら光る試験管
37●子らのこゑ吸ふてしづかな雪のこゑ
38●混濁の術後の母に冬の風
39●山茶花やおはようただいまありがとう
40●さようなら最後の紅葉江の川

41●しぐるるやきりなく雨の輪のはじけ
42●時雨るるやサドルを覆うポリ袋
43●しゅんしゅんとお湯湧く音やストーブに
44●消防車逃げだしたのは雪豹です
45●セイシェルの夕陽のやうな蜜柑かな
46●整備士の顔の油や冬の鳥
47●空仰ぐ時は胸張りかいつむり
48●絶えず湧く冬の泉の神さびる
49●黄昏を乗せて冬濤遥かより
50●玉掴む龍のかぎづめ空也の忌

51●竹林の明るき小春日和かな
52●小さき目の知恵の限りや鳥渡る
53●てくてくと歩くあちこち菊花展
54●遠き山冬めく空にそそり立つ
55●年忘れ昭和末期と孫が言ふ
56●土鍋のこと父に聞きたし冬の星
57●飛石を 小春日和と擦れ違ふ
58●「どん底」の幕間に食らふ石焼き芋
59●習ひ事減らす冬日や母子像
60●化けて出て猫とならむや紅葉の夜

61●走り根のくの字くの字や冬日影
62●裸木や教えることは何もない
63●ビスケットにあまたの小穴笹子鳴く
64●河豚刺を梳けば白磁の色づきぬ
65●冬苺こぶしをしやぶる赤んぼう
66●冬梅やいい奴はみな先に逝き
67●冬銀河億光年へ鈴響く
68●冬銀河吐息大きく帰りけり
69●冬蝶は黄色が宜し日の表
70●冬薔薇ぼんやり見える程の良さ

71●冬の雲そのまま流れ小鳥翔ぶ
72●冬の虹映して牛の目は濡れて
73●冬の薔薇特別な日のアイライン
74●冬めく日集ふ仲間の今昔
75●便所より筑波の見えて寒日和
76●榾くべて山の男の車座に
77●骨一本折れたる傘や片時雨
78●ほろほろと豆富崩れて燗の酒
79●マフラーの吹かるるままに頑なに
80●三島忌の記憶を刻む砂時計

81●木菟の透視さながら凝らしをり
82●紅葉散る十円玉に平等院
83●紅葉晴きみは歌ひにでかけたり
84●雪降れば牛は柔らかな暗闇
85●行く秋の高原列車山近し
86●リーゼントびしっと決めて着ぶくれり
87●をみなごの耳朶の血潮や冬もみぢ

B部門 「ショール」「鉄」 全86句

01●赤信号君のショールに手を伸ばし
02●居酒屋に鉄斎の絵や時雨くる
03●うなじ見せ若草色のショールかな
04●襟巻きのほかほか嬉しバスを待つ
05●大きめの肩掛まとひうつらうつら
06●角打ちの漁師ショールの頬被り
07●風花や鉄瓶滾る隠れ里
08●肩掛けに顔を潜らす幼き子
09●肩掛けを粋にまとった冬めく日
10●肩掛けをしたまま孫の肩たたき

11●肩掛けをひよいと乗せ行く割烹着
12●肩掛けやほつれ毛にある白きもの
13●ガード下カランと凍つる鉄パイプ
14●枯芝を統べ鈍色の鉄亜鈴
15●寒月へ吠ゆ独房の鉄格子
16●寒晴れや国鉄生まれの古電車
17●傷口に鉄の味する神の留守
18●狐火や鉄の味する血をすすり
19●黒ショール演技巧者のエキストラ
20●轟音鉄路にこだます夜汽車かな

21●凩や煙立たない鉄の街
22●極貧に生きて桃色ショールかな
23●国境は鉄橋にあり革衣
24●時雨るるや鉄のオブジェに瑕二つ
25●女優めくショールの君や星さやか
26●ショールして急告の訃を回しけり
27●ショール巻く尼僧と出合ふ先斗町
28●ショール巻く急に人肌恋しくて
29●ショールもて守らむ君がマッチの火
30●すぐ乾く稚の涙や鉄道歌

31●芒原一直線の鉄路かな
32●雀色時ストールの首細し
33●ストーブに焼(く)べる鉄道唱歌かな
34●ストールをおさえ地下鉄乗る女
35●ストールを翼展ぐるやうにして
36●ストールを巻いて銀座の人となる
37●スマホ繰る優先席の赤ショール
38●それはそれで形見のショールぎゅっと巻く
39●大陸を跨ぐ鉄橋牡蠣喰らふ
40●箪笥より見つかる母のショールかな

41●地下鉄へ落葉ころころ吹かれ落つ
42●地平線へ延びる鉄路や冬の星
43●地平まで続く鉄塔雪晴るる
44●D51は鉄の塊風花す
45●デゴイチや秋を切り裂く鉄の道
46●鉄火丼の赤き山脈石蕗の花
47●鉄橋に行き交ふ列車寒の月
48●鉄切りの音焦げてをり雪催
49●鉄琴のいともきらびやかに響く
50●鉄柵に無言の鴉吊るし柿

51●鉄錆の効や黒豆箸映る
52●鉄ちゃんと言われて雪の列車待つ
53●鉄道に思ひ出残す卒業期
54●鉄道を乗り継ぎて行く冬の旅
55●鉄鍋のぬくもり求め大根煮る
56●鉄針の滲む刺青冬の蝶
57●鉄瓶に家督の重さ炭をつぐ
58●鉄瓶に湯気立ちそぞろ口ゆるむ
59●鉄瓶のでんと居座る雪の宿
60●鉄棒に下午の男ら木の葉散る

61●鉄棒の匂いや校庭冬ざるる
62●鉄棒の端にマフラー結はへあり
63●鉄棒や冬夕焼のおしやべり
64●冬帝や鉄分サプリのつぶ数多
65●何や彼や一巻きにして赤ショール
66●西鉄のまた泣き所冬の霧
67●にび色の空を欺く緋のショール
68●廃駅舎鉄路の向かふ冬の虹
69●廃線の錆し鉄路や冬蒲公英
70●廃線の鉄路錆しや枯葉舞ふ

71●白髪の黒きひとすじ毛のショール
72●初雪に肩掛けの列八卦置き
73●膝掛けを肩掛けにすや女子高生
74●ひと日終へ箱に納まる白ショール
75●冬ざれの鉄条網や基地の島
76●ふる里へ向かふ鉄路や冬帽子
77●冬ショール母のにほひのもう僅か
78●冬晴れの鉄腕アトム空高く
79●ふんわりと母の手編みのショール巻く
80●鉄道員(ぽっぽや)の娘(こ)への面影雪の夜
81●歩道橋鉄色滲む冬の星
82●マフラーを替えて今週始まりぬ
83●ほろ酔ひの真紅のストール歌ひけり
84●見上ぐればショールの母の眼の赤き
85●店仕舞終へてシヨールの女将かな
86●むき出しの鉄筋のある冬木立



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Re: こちらこそ!

 投稿者:葱男  投稿日:2017年11月14日(火)18時28分8秒
返信・引用
  葉脈に土の心音雪解風

イイ句ですねえー(^。^)

スライトリマッドさんへのお返事です。

> なるほど。ほんと春の季語のほうがぴったりですね?もしN捜査官が eletcro-bio-mechanical neutral transmitting zero synapse repositioner(ピカッ)を持ってたら、みんなに目くらまし→記憶を消し→春の投句に出す→きっと文句なしの第一席!私もきっと◎つけるでしょう。Men in BlackⅡだったかな。あの頃のトミーリージョーンズ若かった…。でもそれを上回る句が出て来る可能性もありますねえ。

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こちらこそ!

 投稿者:スライトリマッド  投稿日:2017年11月13日(月)00時06分16秒
返信・引用
  なるほど。ほんと春の季語のほうがぴったりですね?もしN捜査官が eletcro-bio-mechanical neutral transmitting zero synapse repositioner(ピカッ)を持ってたら、みんなに目くらまし→記憶を消し→春の投句に出す→きっと文句なしの第一席!私もきっと◎つけるでしょう。Men in BlackⅡだったかな。あの頃のトミーリージョーンズ若かった…。でもそれを上回る句が出て来る可能性もありますねえ。  

スマちゃん、ありがとう!

 投稿者:葱男  投稿日:2017年11月10日(金)11時59分10秒
返信・引用
  FBの非公開グループで同じ提案をして、ラスカルさん、清一さん、秀子さん、ぼくるさんと有意義な意見交換ができました。

この句は二句一章の句と捉えると、やはり季語の薄紅葉はつき過ぎ、かと言って、読み下しにすると詩情が薄れるので、ベストは春の季語「雪解風」を季語におけば、句意も損なわず、つき過ぎにもならず、なかなか良い句になるだろう、という結論に達しました。

私も、薄紅葉では木と大地が繋がったいる自然全体の生命力を表すにはやや力不足だったと思います。
薄紅葉のイメージは、身体中にきれいな血が行き渡って、体が暖まり、頬に赤みがさす、そんな命のイメージでしたが、薄紅葉はまたたくまに紅葉し、やがて落葉して地に枯葉となる事を思うと、「雪解風」の清新な生命力がよく似合うと思います。

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うすもみぢ

 投稿者:スライトリマッド  投稿日:2017年11月 9日(木)12時47分10秒
返信・引用
  すま@霧島です
興味深くお二人のやり取り拝見しました。葱部長の句をたしか私も〇で頂きました。選句の時深く考えずに直感めいたもので採ることが多く、ラスカルさんの論理的なご指摘もなるほど鋭い、さすがだな!!!と感じました。形(語の並べ方)から見たとき、季語を後ろに置くと切れができて、いわゆる『取り合わせ』っぽい感じですが、意味的には『一物仕立て』っぽい。ん~これって葱チャンプルー句じゃ?!と。取り合わせにすると、ラスカルさんおっしゃる通り、薄紅葉と葉脈がつきすぎるし、一物仕立てにして普通の語順で並べると字余りでうまくいかない…そこで日本人の日本語的発想で並べられたのではないかというのが、私の推理です。
私は現在塾で英語を教えていて、受験生の英作文指導などしてますが、日本語はどこから始めても意味は通じるし主語も言わないことが多い、冠詞もなく複数形も気にしないという結構あいまいな言語です。でも英語は皆さんご存知の通り、守らなければならないルールがありますよね。詩型である俳句も自由律でない限り、やはり守らなければならない縛りがあるような気がします。わかる人だけわかってもらえたらいいでなく、私は多分にその傾向が強いので反省しきりですが、やはり誰からも認めてもらえる句を目指すべきと思います。なんて、投句サボってばかりの私は説得力ないですが~すみません。今回のお二人の対話、読ませていただいて大変勉強になりました。ありがとうございました。
 

ラスカルさんとの対話

 投稿者:葱男  投稿日:2017年11月 8日(水)06時23分35秒
返信・引用 編集済
  ラスカルさんと私のプライベートなメッセージのやりとりを、「丘ふみ談話室」に転載することにしました。

B部門で一席になった葱句
「葉脈に土の心音うすもみぢ」についての真剣で面白い対話です。

*****

■ラスカル

葱男さん、こんばんは。いつもお世話になり、どうもありがとうございます。B部門での第一席、おめでとうございます!\(^o^)/
第一席の句にいちゃもんを付けるようで恐縮なのですが・・・。
「葉脈に土の心音うすもみぢ」は、発想はとても素晴らしいのですが、俳句の形に問題があります。この形は「五七・五」ですので、句意としては「何かの葉脈+うすもみぢ」という意味になります。それでは即き過ぎですので、頂くことが出来ませんでした。
おそらく、「薄紅葉の葉脈」なのではないかと思います。でしたら「葉脈→薄紅葉」という語順では違和感があります。「薄紅葉→葉脈」という語順にするべきでしょう。
「薄紅葉その葉脈に土の心音」が、形としてはベストです。ただし、下五が字余りになりますので、推敲する必要がありますね。
この句が第一席にになったのは、発想が素晴らしいからです。それについては異論はありません。ただし、いくら素晴らしい発想でも、俳句としての形を成さなければ、他の句会では評価されません。葱男さんが「井の中の蛙」にならないようにと、敢えて申し上げた次第です。どうか、お気を悪くなさらないでくださいね。
葱男さんの句は、発想は素晴らしいのですから、表現技術を磨けば、「鬼に金棒」だと思います!(^^)

■葱男

すみませんが、私は「俳句の形」を形骸化する傾向をあまり好みません。

ラスカルさんが俳句とはどんなものか、という事を俳句に興味を抱いて学びにくる生徒さんたちに教える時に、「俳句の形」をしっかりと教えることは、先生、師匠、宗匠という立場の人にとって一番大事なことだと思います。

例えば署の先生がまず楷書、行書、草書の形を教えるのと同じです。

でも私は、あまり基本に囚われず、人より早く「現代書」という分野に興味を抱き、理解のある師匠の元で篆書、すなわち絵画的な象形文字に興味を持って学び始めました。

俳句に於いても最初に私を俳句の道に誘ってくれた宗匠は、実にいかがわしい、コピーライター出身の、それも自由律から俳句に入った先生だったので、初めから前衛俳句と俳句前衛の違いなどという話から俳句を学び始めました。

ですから「百鳥」に10年在籍しても自分の考え方を変えなかったし、そのためなのか、才能が無かったのか、とにかく宗匠の好みそうな形の句を詠むという意識は無かったので同人にはなれませんでした。

奈々ちゃんはすぐに。四、五年で二十代半ばで同人に推薦されました。
今、彼女は俳句の壁にぶつかっているのかもしれません。

彼女がセレネッラで詠む句と「百鳥」で詠む句は、まるで形が違います。彼女は俳句の形は十分に理解していると思います。高校の時から私より長い句歴があるのですからね。

でも、彼女は今苦しんでいる。それは結果が出ない、賞が取れない、俳句界からちゃんと、認められないからだと思います。

私は俳句界から認められたいと思ったことはほとんどありません。
現代書を描くように、私の表現したい事を私の形で描きたいだけなんです。

一席になった句の文字の並びについてはラスカルさんの言わんとする意味と論拠はよく分かります。

ラスカルさんが私の事を良い方向に指導してくれようとしてくれていることもよく分かります。

葉脈に~土の心音

この並びは葉脈に吸い上げられる晩秋の水が血で、土が心臓だという意味です。
血脈の心拍のようなイメージです。
その血が体を維持、変化させているという、生命体の哲学だとおもっています。

並びとしては擬人化ですね。

それが私の俳句の形かもしれません。

大串章さんにはついに理解されませんでした。??

俳句としての形を成していない、とは、実は思っていません。
一番最初に話は戻りますが、俳句の形を固定化するような方向を私は好みません。

そんな人間だと思わなかったですか?

だって、私は「葱男」ですよ(^。^)

■ラスカル

あ~、そういう意味ではなくて・・・(^_^;)
葱男さんが言いたいのは「薄紅葉の葉脈」ですよね? それを「葉脈→薄紅葉」という語順にしてしまうと、正しく読み取ってもらえない、ということです。
句意を正しく読み取ってもらえないのは、不本意ではないかと思いましたので、つい口をはさんでしまいました。お気に障ったようでしたら、ごめんなさい。深くお詫び申し上げます。

■葱男

そうだ、この二人の対話をそのまま「丘ふみクラブ」のみんなに読んでもらうのも意味があるかもしれません。

ラスカルさんが良ければ談話室に転載して、興味ある人たちに読んでもらう、というのはどうでしょう?

全然気を悪くなんてしてませんよ??

■ラスカル

談話室への転載、もちろん構いません。
「俳句界から認められたい」とか、そういう問題ではなくて、僕が言いたかったのは「句意を正しく表現する」ということですよ~! 語順はとても大切です。皆さんにとっても勉強になるのではないかと思います(^^)

■葱男

ありがとうございます。

語順の問題について、みんなの意見や考え方を聞いてみましよう!

ここまでの対話を、丸ごと全部転載しましょう!

■ラスカル

丘ふみ句会は、「自由闊達」がモットーですから、おそらく僕の意見が却下されるでしょう~(苦笑) 「そんな細かいことに拘るな!」とか言われたりして・・・(^_^;)
でも、どんな遊びであっても、最低限のルールはあるでしょう? 自由闊達なのはとても魅力的なのですが、やはり、基本をきちんと学ぶことも必要だと思います・・・。

■葱男

それはその通りです。(^。^)

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159号

 投稿者:葱男  投稿日:2017年11月 2日(木)21時10分15秒
返信・引用
  A部門  全84句

01●アイラブ湯愛し恋しの露天風呂
02●秋雲に大蛇の這いし跡著き
03●秋雨や都心歩けば坂ばかり
04●秋雨を来しひと声も濡れをりぬ
05●秋高し見上ぐる空に雲はなし
06●秋の暮れ喫茶のママも癌に病み
07●秋の空白線踏みて子らの声
08●秋深し帰れコールは四時半に
09●紫陽花のそのまま枯れて語るもの
10●穴惑ひのらりくらりと女陰(ほと)ひらく

11●いつの間に布団重ねし秋の夜
12●入口にポニー繋がれ大花野
13●末枯の地底流るるマグマかな
14●遠足か落穂をつつく雀たち
15●大花野少年突如走りだす
16●螻蛄鳴くやゴッホの耳の痛々し
17●海境の弧は茫ぼうと暮の秋
18●海蝕の崖下にをとこ雁の列
19●怪優と呼ばれし系譜ましらざけ
20●帰り道紅い茸に呼ばれけり

21●傾いた陽射しに溶けゆく秋の蝶
22●切手の絵のクレヨン五本冬隣
23●今日ひと日何か失ひ秋の雲
24●来るたびに迷子の心地して花野
25●胡桃割る何やらゆかし繰り言も
26●決断の友よ青檸檬したたる
27●検査良し友の知らせに秋日和
28●木枯し一号街頭インタビュー
29●木枯らしや季節早めて重ね着る
30●極楽へ 鬼の子吊す糸一本

31●小鳥来る尊徳像の薪の上
32●子等の声いつしか絶えて色葉散る
33●撓垂れる生八ッ橋や月を待つ
34●秋陰の背にありける炎かな
35●秋霖の空の交番黒電話
36●新蕎麦と電子タバコと新聞と
37●冷まじや路肩占拠の選挙カー
38●擦り傷の訳を聞かずに今年酒
39●すり寄りし猫の瞳や鰯雲
40●背を丸めさがる噺家暮の秋

41●千年のらせん階段実紫
42●僧走り夢窓国師の庭に月
43●台風の夜にシューマン詩人の恋
44●颱風の目の中透ける人の闇
45●旅先の淡き出逢ひや秋夕焼
46●魂の夢幻飛行や銀河濃し
47●鳥海の紅葉の山に牛も鳴く
48●長尺の桔梗二本に夫婦かな
49●散り乱るいろはにほへと暮の秋
50●月の雨黒鍵だけのピアノ曲

51●妻恋ふや野菊ひつそり咲く山路
52●爪を研ぐ猫の真顔や文化の日
53●吊るされし非情のパンや運動会
54●出窓より露にハートのお見送り
55●天仰ぐ一輪だけの白桔梗
56●天井に睨む龍あり萩そよぐ
57●同級会五十年ぶり禿げ白髪
58●蟷螂や死は求愛の最終形
59●トクホンの微かに匂ふ月の客
60●飛び立ちて浅黄斑蝶(アサギマダラ)の大宇宙

61●長き夜や寝顔を照らす読書灯
62●寝たきりの老人の部屋秋夕焼
63●箸をおくその静けさの新走り
64●萩の庭瓦に葵の紋ありて
65●初孫に大きめの服冬隣
66●昼酒の下物(かぶつ)にしたり新豆腐
67●藤の実の揺るるほどよき風の中
68●更待ややつぱり声を盗まれて
69●ふる里の少し遠のく吾亦紅
70●弁慶のごとき往生女郎花

71●星流る見えぬ光の満つる宙
72●虫の音が泣き止まぬまま日は暮れぬ
73●目覚めれば君のかたちの菊枕
74●木犀の路地に零せし金の星
75●約束を果たしに出向く野分なか
76●山うたふ遠足子らの秋日和
77●破れ芭蕉池のたもとに芭蕉句碑
78●夕月や傍らに汝がゐる気配
79●遊覧の水脈 (みお) 錦秋を真つ二つ
80●洋々たる過去や動かぬ冬の水

81●ラヂオより浪曲ながれ秋刀魚の日
82●乱菊に頬よせうなじ白きかな
83●留守電に残る沈黙秋深し
84●ゐのこづち気づかれぬまま五十路来る

B部門 「無花果」「葉」 全78句

01●新しき朝を木の葉の舞ひ落ちる
02●雨晴の丘の無花果海へ吠ゆ
03●石段を見下ろす照葉誇らしげ
04●無花果の香や教会の朝の畑
05●無花果の木々濁流に呑まれをり
06●無花果のタルト並べて誕生日
07●無花果のつぶつぶのジャム朝ラジオ
08●無花果の残り実ひとつまだ青し
09●無花果の葉っぱも元気な無人駅
10●いちじくの万有引力房囓る

11●無花果の不思議は花の咲かぬこと
12●無花果や古刹に笑ふ石仏
13●無花果や鍼灸院の犬の老ゆ
14●無花果や仙人甘いものが好き
15●無花果や何か足らざる一日過ぐ
16●無花果やレコード盤の波うちて
17●無花果やパック五つの売れ残り
18●無花果を食みて遊べば歯が笑ふ
19●無花果を食みて欠伸の生ぬるき
20●無花果をほうばり込んで続き読む

21●無花果をむさぼり食べる男の子
22●無花果を椀ぐ少年の罪意識
23●一葉のひらり国東摩崖仏
24●銀杏黄葉舞台女優は肩で泣く
25●芋の葉の白珠ころと秋惜しむ
26●柿紅葉一つだに実を生らさずに
27●カラバッジョの裂けた無花果夜の露
28●傷口のやうに無花果そっと舐む
29●君のゐる向ひの窓の遠紅葉
30●空港に降りて飛び込む初紅葉

31●雲浮かぶ小川のありて紅葉鮒
32●原罪を無花果の葉で覆ひける
33●皇后の言の葉に秋深みけり
34●黒板に書く相聞歌薄紅葉
35●小夜時雨土の匂ひとさやぐ葉と
36●三分で選ぶ駅弁薄紅葉
37●饒舌なシャッター音や紅葉山
38●潮風に熟るるいちじく瀬戸は晴れ
39●対局に抓むいちじく白きかな
40●台所の菜つ葉食む音なめくぢら

41●台風や葉を叩きつけ傘飛ばす
42●月一度の学生なりし草紅葉
43●慎ましく目立ちたる無花果は花
44●罪深き手に無花果の乳垂るる
45●東京ばあさん家の無花果くれしかな
46●登校の列の凸凹一葉忌
47●どんぐりへはらりふわりと櫟の葉
48●亡き友とお祓ひ受けし紅葉山
49●庭になる無花果食べた若き日々
50●猫の道落葉集めて通せんぼ

51●脳みそを抱えるように無花果捥ぐ
52●葉つぱのフレディいのちの旅の銀河澄む
53●葉っぱみな穴を飾りて天高し
54●葉の色が光り輝く秋の暮れ
55●葉ミカンの宅配下宿の昼下がり
56●人々の縁ゆかしき照葉かな
57●ひらひらと桜落葉の神田川
58●封切れば言葉溢るる虫の夜
59●ぶせふさんイチジクの葉に隠れをり
60●踏締めば紅葉蓆の音詩かな

61●古池やもみじ葉映えて芭蕉庵
62●ぽつつりと万葉歌碑やつづれさせ
63●マウンドの手長き少女草紅葉

64●まなうらに山城の景谷紅葉
65●マナー良き野球少年草紅葉
66●万葉の旅懐かしや銀杏散る
67●実山椒や返す言葉に棘がある
68●ミノムシも枯れ葉集めて冬支度
69●蓑虫やをかしき言葉書き写す
70●ムーミンの谷へと続く紅葉山

71●紫のラベル無花果ジャムの瓶
72●木犀やコトンとやつて来し葉書
73●紅葉かつ散り碧眼の修行僧
74●紅葉かつ散る言葉瞬く間に乾き
75●黄葉して歩道橋うへ別天地
76●夜明から駅舎を飾る落ち葉かな
77●葉脈に土の心音うすもみぢ
78●紅葉山鞍馬天狗の鼻色に


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158号

 投稿者:葱男  投稿日:2017年10月 1日(日)08時53分26秒
返信・引用
  A部門  全82句
01●青空へ潮引いてゆく浜の秋
02●赤のままあのねあのねの糸電話
03●秋涼し日頃集めし瓶藍色
04●秋の声切り絵のやうに街の暮れ
05●朝ドラの終わりし9月恋の歌
06●五十鈴川に両手浸せば秋の声
07●イタリアが崩れてギリシャ秋の雲
08●犬の散歩ふらりふらりと萩の道
09●入れあげる月のそれぞれ一つづつ
10●エンターキー押して試案や夜半の秋

11●扇置く花街端のラーメン店
12●螻蛄鳴くや落款著き水墨画
13●踊りだすカンタオールや月煌煌
14●姥捨の山まで三里女郎花
15●顔照らすスマホの灯り十七夜
16●蜉蝣の群れて投網の如くなり
17●かりがねや森田童子に地平線
18●癌告ぐるメールに絵文字秋の蝉
19●機関区の跡地きちきちばった飛ぶ
20●汽車来たり目線を走る秋茜

21●教会に熟るる柘榴や罪新た
22●9月25日10円カレー2度並ぶ
23●草野球白露飛ばして子らの足
24●鶏頭や一人で漕げる三輪車
25●県道をふさぐ流木秋遍路
26●さみしさは引力である小鳥来る
27●紫煙の輪どこで崩れて虫の声
28●七輪に横一文字の秋刀魚かな
29●師の影をまた踏んでゐる運動会
30●秋光をきらりと釣りて無一物

31●住職のお布施集める彼岸花
32●情熱の花言葉かな彼岸花
33●白露踏む黒猫のせな迫上ぐる
34●新涼の空鉢巻を締め直す
35●新涼や叩く鍛冶屋の火花飛ぶ
36●酔芙蓉夢見しままに刈られをり
37●水墨画菊を描いて嵐山
38●スエードの真っ赤なヒール月の宴
39●そのあとの二人を包む秋の声
40●ため息と懸賞パズルの菊日和

41●中秋に頭を垂れる稲穂かな
42●月巡り夢と希望の神無月
43●露草の青に潜みし宇宙人
44●露草の青の輝く雨上がり
45●露草の瑠璃より瑠璃へ登校す
46●露の世のスマートフォンの重さかな
47●鉄筋の壁砕かれて実紫
48●螳螂の仁王立ちせる草の門
49●鳥渡る頃か鑢の目を立てて
50●どんぐりを拾ふ天守閣への道

51●トンネルを抜けてトンネル龍淵に
52●長雨にバス待ちの列クラクション
53●鳴き合ひて蟋蟀ふたつ近づけり
54●何もかも抱えてゆくや秋の川
55●にびいろの淡海広がる彼岸花
56●人形の肩ぬぐふ手や白葡萄
57●猫じやらし既読スルーのごとく揺れ
58●海苔巻きの切り口揃ふ在祭
59●野分去る物産展の最終日
60●彼岸花咲きて愁いの手を合わす

61●彦にやんの小さな仕草秋うらら
62●ひたひたと胸の奥まで初月夜
63●ビニル傘野分のあとの形なる
64●ひもとけば紫色の秋の蝶
65●フェレットの町駆けゆきて秋夕焼
66●復旧を待つ無人駅竹の春
67●べい独楽や画鋲に留まる妻の指示
68●豊年や白磁に灘の生一本
69●ポケットのスマホ震へる月の夜
70●星飛ぶや生前葬のデスマスク

71●毬栗をゆつくりと剥く老婆かな
72●身に入むや俯きて弾くビルエバンス
73●身に入むや十字架触るる肋骨
74●実むらさき野外保育の帽子の子
75●無言なる通学の列山に霧
76●むばたまの闇に揺れゐる芒原
77●群れ立ちて妹達の曼殊沙華
78●面接の練習済みて小望月
79●やうやつと過ぎし雨かぜ秋の蝉
80●夕暮の撓み始むる虫の秋

81●夕されば川音やさし彼岸花
82●男気(をとこぎ)に生きて悔いなし秋夕焼

B部門 「穴惑ひ」「竹」 全句

01●秋彼岸竹林抜けて銀の道
02●秋日和じいじの手になる竹とんぼ
03●穴まどひ足の欲しくば竹の馬
04●穴惑いあたしゃ百まで恋します
05●穴惑ひアリスの影を見失ふ
06●穴惑ひ後姿に愁あり
07●穴惑ひ駅まで行って引きかへす
08●穴まどひ追ふ夕暮や杖を振り
09●穴惑ひ希望の風の吹く方へ
10●穴惑ひ更地となりし体育館

11●穴惑ひ舌は炎となりにけり
12●穴惑ひ暫し夕日を背負ひけり
13●穴惑ひ手酌テキーラ四十度
14●穴まどひにも速さあり思ひあり
15●穴惑ひ庭の敷石渡りきる
16●穴惑ひ返事のこない頼み事
17●穴惑まだ居てもいいかも知れぬ
18●穴惑ひ蝮談義に冷や三杯
19●穴まどひ四時から開く立ち飲み屋
20●穴惑ひ僅かの青を探しつつ
21●会へずして沼銀に竹の春
22●云ふまいぞせんなきことは穴惑ひ
23●戒めを解いてまた巻く穴惑ひ
24●運針のリズムのごとく蛇穴に
25●かけつこの曲遠くより穴惑ひ
26●寒村の学校の鐘竹の春
27●伎芸天ほほえむ庭や穴惑ひ
28●期限切れの引換券や穴惑ひ
29●草の香やコツリと戻す竹柄杓
30●交番に隣るコンビニ穴惑

31●古民家の土間のうねりや穴惑
32●ざわざわとおしゃべり好きな竹の春
33●爽やかな風のかたちや竹人形
34●しなやかに邪念の消ゆる穴惑ひ
35●市役所の苦情窓口穴まどひ
36●シャンシャンといふ名に決まり竹の春
37●就活のよく似た服や穴惑い
38●深海のサーチライトや穴惑ひ
39●新蕎麦や竹の割り箸竹の猪口
40●新涼や竹籠を編む白き指

41●筮竹の鳴る音に霧深まりぬ
42●竹垣のほつれ目秋の蚊のひよろり
43●竹伐りて枝打ち払い天を突く
44●竹伐るや少し明るくする為に
45●竹伐るや我が家に生れよかぐや姫
46●竹竿のぴくぴくびくん秋高
47●竹尺に母の旧姓ひがん花
48●竹筒に野菊一輪骨董屋
49●竹筒を鼻迎へゆく今年酒
50●竹取りの翁の憂ひ姫に月

51●竹取の姫さま天へ蛇は穴へ
52●竹の春首にたつぷり化粧水
53●竹の春自分のことはわからない
54●竹の春筋を通して生きたしと
55●竹の春揃いて清き大徳寺
56●竹の春我が家に根付き半世紀
57●竹藪は風生みつづけ秋思なほ
58●垂れ穂ゆゑ雨嫌ふ向き竹添へて
59●竹林に埋もるる墓つづれさせ
60●竹林に光る名月かぐや姫

61●竹林を仰ぎて清し小鳥来る
62●竹林を曲がれば岬月明かり
63●竹林を見下ろす月やクール顔
64●竹林を渡りきりたる月の船
65●竹輪焼きホロ酔い加減の秋の海
66●町内が我がテリトリー穴惑ひ
67●地を叩くクラブ仲間と穴まどふ
68●手入れせし裸の庭に穴惑ひ
69●天空の雲の変幻穴惑ひ
70●天国の宴始まる竹の春

71●土手は今万華鏡なり穴惑ひ
72●名前入り竹の孫の手敬老日
73●墓参り石の温もり穴惑ひ
74●はんなりと風と戯る竹の春
75●踏み入れば青き暗がり竹の春
76●ベルギーの友の庭にも竹の春
77●みどりごの握る強さよ竹の春
78●夕冷えや竹輪麩なるもの知らざりき
79●詫びること日に八つづつ穴惑

 

157号

 投稿者:葱男  投稿日:2017年 9月 1日(金)07時01分39秒
返信・引用
  A部門  全81句

01●赤とんぼ舞ふヒマラヤへ続く空
02●秋うらら指先細きタイ仏陀
03●秋虹や通りすがりの容人
04●朝顔の色とりどりに深呼吸
05●朝寒に一枚羽織る夜明けかな
06●足跡に水溜めて去る秋時雨
07●無花果や柱時計のねじ二つ
08●いつもごとはみ出て威張る赤芙蓉
09●稲妻や十指残らず指輪嵌め
10●稲の花生まれ変はりの男の子

11●馬で行くブータンの谷秋高し
12●海行きのバスに乗り込む残暑かな
13●うらはらな言葉のうらや梨を剥く
14●永遠の少女の肖像空高し
15●送り火を乗せし小舟の海静か
16●落ち蝉や死んだふりしてひと休み
17●蜉蝣やジャコメッティの立像群
18●蜉蝣や十時過ぎると出る女
19●風の詩(うた)てんこ盛りなる大花野
20●かなかなや闇のうごめく獣道

21●カナリアの唄思い出す星月夜
22●木の香る渡り廊下や涼新た
23●教会の更地となりて秋の風
24●句会欠席魚になりて泳ぎをり
25●くの一のしなやかに来る秋燈
26●月孤月腹に抱ふる瘤あり
27●苔庭に蝉の骸の二三四五
28●小鳥来る移動パン屋のカレーパン
29●この度の無口は長し秋愁い
30●鷺草の樫原湿原風の中

31●差し伸べる手を触れ合ふて薄紅葉
32●寂しさも消えてさみしき秋の風
33●地獄にも階級ありて猴酒(ましらざけ)
34●島尾敏雄ミホ交感記敗戦忌
35●仕舞はれぬホースのうねり秋めけり
36●白壁に闘牛士の衣ロルカの忌
(1936年8月19日、詩人のフェデリコ・ガルーシア・ロルカ銃殺さる)
37●新米を収め農協のプラッシー
38●新涼や指をこぼるる湖の青
39●蝉の声陽炎真似て溶けちゃった
40●大殺界憂う後輩秋の空

41●大小の甚平の行く肩車
42●「大」の字のはらひに火が来如意ヶ岳
43●台風は何処に行くやと追い回し
44●断崖にラマの僧院鳥渡る
45●田んぼアート眺め燕の帰りけり
46●父の忌や雲の変わりて秋立ちぬ
47●父母の座布団加へ今日の月
48●ちちははの魂去り難き大文字
49●駐在の息子の帰省片ピアス
50●つんつんと台風つつく予報官

51●掌に余る有の実とどきけり
52●透析に遅れぬ父の秋暑かな
53●扉の向かうすずむし鳴ける帰宅かな
54●長崎忌セピア色した天主堂
55●夏空や竜宮城の亀もゐて
56●日曜の朝の静けさ法師蝉
57●猫の餌喰らう狸は大文字
58●能舞台射る篝火や白木槿
59●墓参りせずに動画の母と会ふ
60●八月尽スーパー床屋に親子連れ

61●ハチ公に跨つてゐる夜の秋
62●ひぐらしや今日の余りのやうな風
63●ひとはみな墓石となりぬ鬼灯熟るゝ
64●日めくりの二日前なる秋思かな
65●ひょっとして妻を好きかも秋茄子
66●昼は蝉夜は鈴虫風の中
67●ふらり入る地元のバーの〆秋刀魚
68●ベランダで花火を見詰め鬱も消え
69●弁財天は女性なりや?と兜虫
70●法師蝉今日を限りのごとく鳴く

71●鬼灯のぐいと大気に滲み赤
72●宝満の朝ぼらけにも秋の声
73●僕たちは集ふ銀河の真ん中に
74●待ちびとの声高らかに秋簾
75●待宵や葉巻煙草の香りふと
76●身も心も夜空ただよふ虫しぐれ
77●身を隠し何を語るや法師蝉
78●虫鳴くやサーモンピンクの雲の峰
79●黙祷に地軸かたむく原爆忌
80●ゆつくりとめくるアルバム盆の月
81●ワインもう一杯と言ふ生身魂

B部門 「稲妻」「巻」全75句

01●秋白し巻きタバコ嗅ぐ父の癖
02●秋の中手巻時計の妻の腕
03●秋めきてコートに巻く風足止める
04●アボカドの手巻き並びぬ良夜かな
05●板谷越え稲妻に虹色艶も
06●一巻の終りかこの世八月尽
07●稲妻来涙に寝落つ幼子や
08●稲妻に誘われ猫の髭ピンと
09●稲妻に鳴く声止まる秋の蝉
10●稲妻の幾重に割れて田の広き

11●稲妻の隠す三つの嘘暴く
12●稲妻の遠し触れたる指と指
13●稲妻の閃き空を泣かせたり
14●稲妻は天上からのアラート音
15●稲妻やいまの中へと引きこもる
16●稲妻や憶ひ出す人ありにけり
17●稲妻や鏡の裏のむき出しに
18●稲妻や木々妖怪の影落とす
19●稲妻や湖底に柱立上る
20●稲妻や添ひ寝の嬰の夢まどか

21●稲妻や卒業名簿の二本線
22●稲妻や棚田にかかる波しぶき
23●稲妻や遅々と進まぬ針仕事
24●稲妻やついそこまでの宿の下駄
25●稲妻や葉巻咥えるチェゲバラ
26●稲妻やひとり夜業のビルの窓
27●稲妻やまたぶり返す片頭痛
28●稲びかり鏡の中の人は誰
29●いなびかり車窓に浮かぶ富士の影
30●稲びかり茶わんにひとつ小さき欠け

31●稲光猫は何処か音もなく
32●稲光毎夜降る雨夏去りぬ
33●稲の殿または稲妻稲光
34●渦巻の真ん中に浮く穂草かな
35●絵師の業(ごう)下巻読み終え大夕焼
36●おにぎりに海苔巻く係文化祭
37●オルゴールそつとねじ巻く夜の秋
38●女川絵巻物語またも秋
39●くだを巻く奴も頼りや月見豆

40●警官の埠頭に立てる稲光
41●巻雲の空を深むる筆さばき
42●百日白(さるすべり)原爆ドームの眩しけり
43●死と生を残し稲妻去りにけり
44●しなやかに林檎巻き取る象の鼻
45●秋灯や手巻きの寿司の取りやつこ
46●秋霖や源氏絵巻の中へ入る
47●真夜なれば稲妻の音夥し
48●すててこの柱に凭れ稲光
49●走馬燈最終巻はゆうくりと
50●爽籟や巻物運ぶ修行僧

51●魂迎普段着のまま手巻寿司
52●月あかりゆつくり竜頭巻いてをり
53●天空の城をうしろに稲光
54●天井に渦巻のあり金木犀
55●とぐろ巻く少年背負ふ月明り
56●ナーガ巻ける仏陀の笑みや星月夜
57●二巻目の治虫を捲る夜長かな
58●膝折りて探す図書館稲びかり
59●左目はテールランプ右目は雲の稲妻へ

60●閃きやどこかしこにも稲光
61●巻貝の奥の暗やみ星月夜
62●巻貝の螺旋をなぞる浪の秋
63●巻き髪を良夜の風に解きけり
64●巻き舌で決める十八番や生身魂
65●巻き寿司やテープを切りし運動会
66●巻き爪に難儀のはさみ秋暑し
67●巻き戻し叶はぬ生や墓洗ふ
68●枕辺へ白き巻貝秋の声
69●真つ黒な雲うつくしき稲光
70●身構へて音来ぬけふの稲光

71●みちのくの稲妻驫き汽車ひとり
72●三日の月源氏絵巻を紐解けり
73●夕暮れに稲光して蝉が飛ぶ
74●妖怪の絵巻にゴロロ稲光
75●若煙草巻く指先の仕草かな

 

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