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167号

 投稿者:葱男  投稿日:2018年 7月 4日(水)06時19分38秒
返信・引用
  A部門 全87句

01●青梅雨や停学の子と焼くもんじゃ
02●紫陽花の笑顔艶やか七変化
03●紫陽花の花弁の隙に受けし雨
04●紫陽花や写真にできぬ風の色
05●足下の崩れたるやう蛍膨るる
06●雨蛙宝満拝む畦の脇
07●入れ墨の腕の太さの極暑かな
08●打水や絶海となる散歩道
09●裏山に熊の足跡夏の雲
10●炎天や石の呟き父の墓

11●幼子の見詰むかたつむりの歩み
12●落つる汗下北沢の呼び込みや
13●朧げな南天の花何想ふ
14●蚊喰鳥憂き世の闇を炙り出す
15●駆け込み寺梅雨の蝶々のまとひつく
16●肩車してパンダの行列梅雨晴間
17●川音にすすむ地酒や鮎の宿
18●黴の香や父の書斎の古日記
19●眼球の奥の虹彩ルリトカゲ
20●寒山詩空に満月手に箒

21●草刈の腕を休めて汗拭う
22●草芝居狼役に梅雨明けぬ
23●梔子や輪廻転生矢のごとし
24●口笛で三オクターブ風薫る
25●口笛に駆けて来る犬青葉風
26●口紅を引くシャレコウベ蛍舞ふ
27●黒南風の砂丘に立ちて海丸し
28●香水やからまる金のネックレス
29●子ツバメの巣を日々愛でし老夫婦
30●混沌の中の一群れ濃紫陽花

31●さみだれや「拉致」ポスターの赤き帯
32●山椒魚あの清水から旅立ちぬ
33●茂り葉や水面に時を映しこみ
34●借景は伊都の遺跡ぞ白鷺よ
35●縄文の緋の漆や大地炎ゆ
36●白南風や折目正しくたたむ傘
37●白南風や庭師の貝の首かざり
38●詩を恋うて今新緑の中にあり
39●新聞配達の腕半袖の日焼跡
40●人類の始めは裸夏兆す

41●積乱雲ニライカナイはあの腹に
42●袖先を折る仕草佳き半夏かな
43●胎内に届くかぼそき蝉のこゑ
44●黄昏を串刺しにせり夏燕
45●竹林の三光鳥へ澄ます耳
46●弔旗のごと翅を曳きゆく蟻の列
47●梅雨明やぽかんと浮かぶ丸い雲
48●梅雨湿り汽罐煙るや博多港
49●梅雨になり明日も雨かと鬱気分
50●梅雨冷えに猫はお昼寝犬吠える

51●手の中に粉粉の蝶昼寝覚め
52●時々に木魚の音も濃紫陽花
53●鈍行に本読み進む夏の果
54●夏木立窓枠ありて絵となりぬ
55●夏つばき水琴窟の歌ひけり
56●夏服に着替えし頃に梅雨の風
57●七色の嘘に塗れる濃紫陽花
58●なにごとも驚くなかれ梅雨晴れ間
59●ねじれ花きれいにねじて空へ行く
60●白髪のトイレ掃除に夏の汗

61●はぐれたるほうたるぽつりなおいつそう
62●バス待つや早く来ぬかと夏帽子
63●鼻毛つんと髪は扨措き大暑なり
64●万緑の奈落や我が身縮みゆく
65●日雷ビリケンさんの金の髷
66●美女柳傘の内なる長き髪
67●一夏の麦わら帽子百八圓
68●昼寝していよよ伸びたる無精髭
69●深皿の底の河童や夏の膳
70●深眠り寝間に蛍の火を放ち

71●別姓の表札掲ぐ薔薇の門
72●ほうたるの真黒く横切りゆびのさき
73●蛍火や息を継ぐこと忘れゐし
74●本一人スマホ六人冷房車
75●まだ僕は海月の骨を探してる
76●眼閉づマイナスイオンの滝の精
77●実梅落つそろばん塾は路地の奥
78●短夜やシャガールの馬宙を行き
79●御仏と交わりし夢ネムの花
80●欠番

81●みちのくの砂の嗚咽や浜昼顔
82●目印の青きハンカチ胸に挿す
83●夕立に身を清めけり天邪鬼
84●雷鳴や木樽を揺らすウヰスキー
85●らっきょうの匂い甘酢に封印す
86●欠番
87●驚いてヤモリと私にらめっこ
88●泣きぼくろ坂駆け上がり夏に入る
89●紅型の暖簾くぐるや走り梅雨

B部門  「蟇」「道」  全75句

01●愛加那と奄美の梅雨は道の駅
02●畦の道でんと構える蟇蛙
03●牛久沼河童伝説蝦蟇鳴けり
04●炎昼や河川敷への道長し
05●江戸暑し彫り師刷り師の道具箱
06●大空へのぼる石段蟇蛙
07●怪談の噂されたる道を往く
08●帰り道ほたるを探す夏の川
09●過去生は傀儡(かいらい)の王ヒキガエル
10●肩車梔子香る帰り道

11●木々伝ふ草むらの道旅烏
12●旧道に飛脚のしるべ日雷
13●旧道の整へられて花菖蒲
14●雲の峰どの道も皆海へ出る
15●芥子咲くや旅芸人の道遠く
16●高原の朝の散歩を蟇覗く
17●この道は初めての道立葵
18●木漏れ日のひとすじの青蟇の声
19●柴山に入る道消えし盆の村
20●前世を語り始める蟇

21●田植え終え妻に知らせに帰る道
22●宝島へ片道切符南風吹く
23●近道は草の細道蟇
24●父の日やあなたの道は自慢です
25●超絶の速弾きチェロや蟇出づる
26●天地無用豊後水道大夕焼
27●跳ぶやうに見えぬ五体や蟇
28●中山道大井宿本陣の夏
29●夏立つや物の怪生るる森の道
30●夏の野を分けゆくさらの高速道

31●なりたきはボディビルダー蟇
32●庭いぢる妻の日暮や蟇のこゑ
33●熱帯夜ホラー映画へダイビング
34●合歓の花影絵館への道しるべ
35●野苺や友とさがした田舎道
36●番頭のやうに控へて蟇蛙
37●蟇イボとユーモア同居せり
38●蟇動かぬ意思の強くあり
39●蟇戒名の無き父の墓
40●ひきがへる上座の客のごとくゐて

41●蟇きみはジュラ紀を見てきたか
42●ひきがへる地震列島尻の下
43●蟇静止時流る水鏡
44●蟇の蹲う土の生温き
45●ひきがえる御笠の川の主かな
46●蟇鳴くや筑波三里の古道標
47●蟇鳴くや半眼にして石の上
48●蟇鳴くや夫婦喧嘩のあとの黙
49●蟇鳴くやマナーモードの着信音
50●蟇のこゑお客のいない終列車

51●蟇のこゑ心拍数の五割増し
52●蟇は蟇家族は家族大事なり
53●人の子の気になる小道夏休み
54●人の道外して梅雨に打たれをり
55●冷酒(ひや)酌むや廃れちまった男道
56●ヘアピンのやうに山道蛇苺
57●マンションを憮然と見上ぐ蟇
58●三毛獲りし茶の間の蟇の骸かな
59●道消えし樹海に充てり新樹光
60●道草や蜻蛉生るるを待つ野池

61●道真さん飛梅守りは梅の種
62●道の駅一筆書きの夏休み
63●道灼けて我が棒切れのごとき影
64●道をしへ消えて行方の定まらぬ
65●メロン抱き畦道走る女の子
66●もぎたてのトマトめがけて道の駅
67●夕焼や尾道をゆく撮影隊
68●寄り道をしても家路や夏の月
69●緑陰や石と見紛ふ道祖神
70●禄高の三石ほどや蟇
71●我が道を思い起こしてまどろみぬ
72●わが姫はつひに来ぬまま蟇
73●風邪ひきぬ日がな一日蝦蟇のごと
74●帰宅難民蟻の如くに道塞ぐ
75●蟇はねたる時はひょうきんに


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166号

 投稿者:葱男  投稿日:2018年 6月 5日(火)11時00分32秒
返信・引用
  A部門 全90句

01●青時雨ゆめかうつつか幻か
02●朝練の清々しきや夏燕
03●ありのままそのまま泰山木の花
04●息つかす城の石段青葉闇
05●いつまでも立ち尽くすまま五月晴れ
06●裏の田の宅地申請蝉生る
07●A列車万緑の旅始まりぬ
08●お太鼓のぴたりと決まり初夏の風
09●己が影抱へて歩む蜥蜴かな
10●音楽も苺も二人分けあつて

11●かくれんぼ茂りの中に鬼を置く
12●菓子箱に丸窓のあり若葉風
13●風強しされど噴水たる飛沫
14●カルメ焼の膨らんでくる祭笛
15●「かわせみやませみ」木(もく)を香らせ梅雨に入る
16●「かわせみやませみ」蓮の畑を
17●起重機てふガンダムの角(つの)灼けてをり
18●教室にペン音満つる風薫る
19●熊楠の曼荼羅蔵す青嵐
20●黒南風や端から焦ぐる目玉焼

21●薫風やルイボスティーの透ける紅
22●薫風を背中にそらすあくび猫
23●薫風やどつぷり漬かる露天風呂
24●声のくぐもり丑三つの不如帰
25●五才児の恥じらい楽し更衣
26●子に戻りうきうき眺む柏餅
27●悉く島の若葉や唐津沖
28●ごめんねを明るく介す青簾
29●五月晴れ運動会もくたびれた
30●五月雨の雫と連打メトロノーム

31●さよならが言へぬ滝音うるさくて
32●潮騒や砂糖に青き梅埋め
33●島に嫁ぎ潮騒を聞く金魚かな
34●仕舞ひまで嘘つき通す心太
35●人生の長き画巻や青時雨
36●水平線一直線に夏の色
37●空見上げ濡れても良しと五月雨
38●大学の産科病棟聖五月
39●滝涼し真面(まとも)にをとこ立ちにけり
40●筍を湯掻くや夜の割烹着

41●ただ白きハンケチ母は無口なる
42●ダービーや耳に赤ペン赤ら顔
43●杖突いて歩くリハビリ緑濃し
44●梅雨なれば傘もささずに雨蛙
45●天国は晴れて広々麦の秋
46●店頭に新茶所望の百匁
47●答案の返却ゆらり夏の昼
48●時を止め沖の夕焼(ゆやけ)に泳ぎ入る
49●土手を漕ぐ赤銅色の裸かな
50●寅さんの昼寝のベンチ汽車がゆく

51●とろうり光る桜の脂や聖五月
52●泣き叫び両手あげたる丸裸
53●夏空や織り成す雲の絹と綿
54●夏の灯の照らす古仏の榧衣文
55●夏めきて化粧に慣れし吾が娘
56●夏めくや期限気にしてラベル見る
57●麦秋に腰を降ろして青い空
58●麦秋の低き山並み広き空
59●バトンパスのやうにバナナを渡しけり
60●花みかん岬まで行く島のバス

61●母の日にヒロイン集ひ若返る
62●母の日の小雨の午後となりにけり
63●万緑や膝に抱きし父の骨
64●光る風茶葉の開くを待つ間
65●単衣着て声なまめけり屋形船
66●枇杷を捥ぐ今日はショパンのピアノ曲
67●便箋の過日は遠き麦の秋
68●ピンポン台立夏立夏と弾む音
69●風鈴のリンの乱れや嬰笑みぬ
70●噴水や子の国となる青き空

71●ベラスケスの前を過ぎ行く薰衣香
72●べらんだに鳥とわれ浮く端居かな
73●方形の空一輪の薔薇ほの甘く
74●呆けぶりを笑ひ合ひつつ宿浴衣
75●マカロンの転がるやうに若葉風
76●松虫てふ小さき寺こそ子規
77●幻の機影知覧の夏空に
78●短夜のチヤツトは妻に背を向けて
79●店先に並ぶぐい飲み花山椒
80●麦嵐野は一斉に黄金に

81●麦の秋まつすぐ走る大牟田線
82●もう噴かぬ噴水ふちに鳥遊ぶ
83●物の怪の生きる森なり春終る
84●約束の蛍となりて現れたまふ
85●柔らかき雨に色増す五月かな
86●雪解富士大沢崩れぱっくりと
87●ランドセルの色とりどりや街薄暑
88●瑠璃色の木漏れ日拾ふ聖五月
89●レモンスカッシュ白黒写真の空の色
90●若葉山空の青さを深呼吸

B部門  「苺」「汽」  全89句

01●青嵐給水タンクと汽車鎮む
02●朝採りの葉の逞しき苺かな
03●いいことの何もなき日や苺食ぶ
04●苺描きクレヨンの先丸くなる
05●苺狩りこつそり食むる堕落論
06●苺ジャム香る厨の至福どき
07●苺その野性の黄色藪の中
08●イチゴ大福選びし母の笑顔かな
09●苺摘みハウスの中の季節感
10●苺摘む母の願いを蹴飛ばして

11●イチゴつむ不意に振り向く妻の顔
12●苺食む一期一会の一語はも
13●苺欲しくない苛めて欲しくない
14●いにしへの恋文辞書に苺の香
15●海の青濃き糸島の苺狩り
16●海鳴りに汽笛かぶさる五月闇
17●うは事に苺の名前喋る姉
18●映像の汽車に魅せられ大井川
19●エバの摘む苺を食むる失楽園
20●炎昼や汽笛遠くに目を細む

21●大粒の苺考妣(かうひ)に供へけり
22●沖近き明治の汽船の煙かな
23●ががんぼや夜汽車の窓の夢現
24●覚醒を促しつづけ蒸汽船
25●欠番
26●飾られる時逆立ちの苺かな
27●木苺の舌に残りて懐かしく
28●木苺や虚空の空の青深し
29●汽缶夫のかひなの皺や玉の汗
30●汽罐車の黒き煙や駅薄暑

31●汽車ポッポの絵本広げて昼寝の子
32●汽船からクロコダイル釣る夏の旅
33●口に余る巨きな苺兜太読む
34●薫風や通過待ちする汽車に立ち
35●下校時枝を片手に蛇苺
36●国会中継歯間の苺つぶ
37●五月雨船の汽笛に涙ぐむ
38●五月晴れ汽車の窓を過ぎる過去
39●散歩道なんと紅色へび苺
40●少女来てワンカラットの苺摘む

41●少年に挫折の夏や遠汽笛
42●セロハンに青空の波路地苺
43●鮮血の如く熟せし苺食ふ
44●台風の荒ぶる海や汽船宿
45●立山に夜汽車の記憶忘れ霜
46●釣具屋に汽笛はるかや青簾
47●Tシャツの色褪せ気になる苺狩
48●透過篭押し合ひ圧し合ひ粒苺
49●途中下車朝どり苺を頬張りぬ
50●トンネルへ夏の汽笛の夜汽車かな

51●夏帯や汽水にくだる淡水魚
52●夏木立弁当を受く汽車の窓
53●夏草やスイッチバックの汽車喘ぐ
54●夏衣や気の向くままの汽車の旅
55●夏の月二人を結ぶ夜汽車かな
56●夏帽子抱ふ夜汽車の女かな
57●虹橋を潜り抜けたる汽船かな
58●入梅雨や汽笛潤ほせ給水塔
59●庭苺摘むよ小さき膝小僧
60●欠番

61●野苺や学生村のありし頃
62●野苺や禁じられたる遊びまた
63●廃線の汽笛かすかに遠青嶺
64●麦秋の丘静寂を割く汽笛
65●函の苺抱へし子らの過ぎにけり
66●欠番
67●肚にどんとフェリーの汽笛月涼し
68●春の日に苺ミルクに舌鼓
69●万緑の動き始める汽車弁当
70●一粒の苺抱へたまま眠る

71●一人の夜天の川なる父の汽車
72●ふくらみし汽水かわせみ急降下
73●ぷちと鳴る小さき悔恨いちご食ぶ
74●故郷の汽船の旅の波の跡
75●星涼し追憶の汽車登るかな
76●本閉じるショートケーキは苺でしょ
77●本牧の薫風にのる汽笛かな
78●まおちゃんの色のハミング苺畑
79●真暗な口に真赤な苺かな
80●真つ先に苺ほほばるミルフィーユ

81●窓越しの夜汽車のブザー青林檎
82●短夜や汽車は汽笛を置き去りに
83●剥き出しの粒は本性苺ジャム
84●逝くときは夕焼空を汽車ぽっぽ
85●夜汽車から蒼い水母が降りて来る
86●LINEには秘密と絵文字苺食ぶ
87●ランドセルの苺泥棒に恩赦
88●竜宮城に向かふ汽笛や風薫る
89●六月や眠りの隙間より汽笛
90●銀翼の灯寂しパリの苺売
91●芍薬のはらはらと落つ汽缶室
92●寝墓傍苺は太し森の風



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165/B部門

 投稿者:葱男  投稿日:2018年 5月 2日(水)19時47分52秒
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  B部門  「蛙の目借時」「怪」  全句

01●青葉若葉一山色を得て怪し
02●阿蘇からの妖怪忍び萌える木々
03●アッという間に終着の目借り時
04●怪しげな影伸びてをり春の暮れ
05●怪しげなセールス電話春匂ふ
06●怪しげな屋台のメニュー夏は来ぬ
07●怪し火にしっぽのありて春の闇
08●磯遊びラグーンの中の怪魚かな
09●一本の髭剃り残し目借時
10●丘の上の怪人集ふ春の夜

11●オカリナのかえるの合唱目借時
12●おぼろ月笹揺れ匂う怪し夜
13●朧夜や怪しきバーのシネラリア
14●朧夜や「天井桟敷」の怪演談
注:「天井桟敷」は故寺山修司の劇団名
15●怪魚なり幼子叫ぶ磯遊び
16●怪気炎あぐる一団街おぼろ
17●怪獣たちの棲む島へ漕ぐ月朧
18●怪獣の二足歩行や春満月
19●怪人の声ろうろうと春の闇
20●怪人の微笑む客間春の闇

21●怪僧の遺しし文や目借時
22●怪童の行く末思ふ夏隣
23●怪物に追われし夢は春の宵
24●怪文書に国滞る霾ぐもり
25●怪腕の投げしボールに風光る
26●怪腕のはふる白球樟若葉
27●霞が関の怪や朧のカフェオーレ
28●紙のない会議蛙の目借時
29●郭公や旧街道の径暗し
30●神主の祝詞蛙の目借時

31●鏡中のものの怪目覚む朧の夜
32●奇っ怪と一言宣ふ蜃気楼
33●厨より作るジャムの香目借時
34●消しゴムのぽくんと折れて目借時
35●五時限目の古文蛙の目借時
36●谺するオカリナの音目借時
37●ゴンドラの櫂の伸びゆく目借時
38●酒一壺今や怪しき目借時
39●三回忌母と目が合う目借時
40●散髪の済みぬ蛙の目借時

41●シアターの闇の柔らか目借時
42●七人が決闘やめる目借時
43●執事には目借時なし目借時
44●ジェンダーレスの歌声浸る目借時
45●新聞に切り抜きの穴目借時
46●素の我やだらりとろりと目借時
47●躑躅落つガーゼに赤き膝の怪我
48●躑躅の背怪獣のリュックひょこひょこと
49●積ん読の月刊誌殖ゆ目借時
50●手からスマホ滑り落つる目借時

51●出口なきメビウスの帯目借時
52●父さんが怪獣になるピクニック
53●亡き父に名前呼ばるる目借り時
54●二上がりの調子合わない目借時
55●葱坊主怪人二十面相か
56●花咲くや林檎怪人ぞぞぞぞぞ
57●花束は猫ほど重く目借時
58●花の客は怪人なれど一面相
59●花水木しげって爽快妖怪ロード
60●春の日に蛙の目見つめにらめっこ

66●人妻と出会ふ蛙の目借時
67●「ひばり」でも聴くか蛙の目借時
68●秒針の音の消へゆく目借時
69●ほんたうのワタシ蛙の目借時
70●見比べるピザ屋のチラシ目借時

71●目借時突然妻にどやされて
72●めかり時襖の虎の目が動く
73●目借時汀を泳ぐヌートリア
74●妄想をわれに返りし目借時
75●物の怪に手を振っている春の暮
76●物の怪の消えたるそこに蝌蚪の国
77●夜半越え蛙の目借り時猫の恋
78●山桜怪しき夢の枕辺に
79●やはらかな陽射しの包む目借り時

80●夕暮の谷の怪しさ赤楝蛇(やまかがし)
81●ゆく春や永遠に怪しきふたりなり
82●夢覚ますスマホの地鳴り目借り時
83●ランチ時半ば蛙の目借時
84●龍神の瀧へ出る径轟きぬ
85●連休の狭間うとうと目借時
86●老人の定め真昼の目借り時
87●怪童と呼ばれし男夏の雲
88●歳時記の朱き書込み目借時
89●白日傘うごめく妖怪ロードかな

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165

 投稿者:葱男  投稿日:2018年 5月 2日(水)19時46分40秒
返信・引用
  A部門 全90句

01●青葉満ち空北角に残るのみ
02●朝の日に口笛ひよと夏が来た
03●あたたかや石を撫でゆく水の音
04●一瞬の目つき鋭くなる聞茶
05●引退の盲導犬や春深し
06●インテルメッツォ小雨に煙る桜蕊
07●海鳴は海の口笛白鴨忌
*2013年5月1日、白髪鴨さん、玄海に歿す
08●遠足の列に我が子を探す母
09●男手が瓶を開けたり忘れ霜
10●会話なき食卓に出る茗荷竹

11●蛙鳴き鳥鳴きときにチャイム鳴る
12●隠れたい時もありけり葦の角
13●駆ける児の一歩一歩やたんぽぽぽ
14●紙風船破れ阿鼻旨に燃え尽きぬ
15●ガリ刷りの学級新聞昭和の日
16●ガリバーにかき回されて蝌蚪の国
17●観能の居眠りをする単衣かな
18●ギター弾く人に寄り来て春惜しむ
19●キャベツ畑横目にすいと風ペダル
20●京急の駆け抜けてゆく花菜かな

21●公園に本読む夫婦しやぼん玉
22●性あらはなる彫像や山笑ふ
23●桜蘂降る方程式を解くやうに
24●桜散る小雪の如く敷き積もり
25●桜餅を半分食べるダイエット
26●五月雨の甘き雫に背伸びせり
27●自動ドアパッと開いたら桜映ゆ
28●しばらくは喃語の会話春の虹
29●石楠花に触れし指もて愛の文
30●シャボン玉ひとつひとつに子らの声

31●住宅街にパン屋の車日永し
32●出自なら薊は自虐針地獄
33●春天や黒髪写す水鏡
34●浄土への海を見晴らす躑躅山
35●昭和の日二円切手の秋田犬
36●紫蘭咲く平日の夫(つま)その名問ふ
37●棲みつかぬ獣を養ふ大手毬
38●疎に密に鴨の遊ぶよ春の川
39●宙よりの伝言ゲーム藤の房
40●チューリップ腹が立つても真つ直ぐに

41●重畳のひと日花種蒔きにけり
42●霾るや陸奥が浜辺の忘れ舟
43●手に紙を繰らぬ読書や春惜しむ
44●遠き日の告げざる恋やさくら貝
45●道化師は衣装を脱ぎて花は葉に
46●特急の通過待つ駅山笑う
47●捕らわれて上目遣ひの寄居虫(ごうな)かな
48●トロッコに散らずに舞うや花吹雪
49●夏近し交わす言葉に熱こもる
50●何もかも丸まつてゐる春疾風

51●菜畑ゆく菜の花色のつり革
52●逃水や麒麟の首のよく伸びる
53●二の腕に走る血管夏隣
54●猫の目も三日月になる鰹節
55●猫の恋見上げる空に一輪の月
56●ネモフィラの逃水となる今日の風
57●軒下に吊るす自転車夏めきて
58●化けて出る霊力強き詩吟かな
59●場所取りのブルーシートに花の屑
60●花馬酔木不良名乗りし人の逝く

61●花韮に溢れゆれをり真昼星
62●花水木願ひは天に届きけり
63●花は実に読んでは破る日記帳
64●花吹雪あつといふ間に家が建つ
65●母に似た掃除婦の背に舞ふ桜
66●腹出して起立秩父のチューリップ
67●春愁ひとえ瞼になりにけり
68●春の月真珠抱かぬ真珠貝
69●春の星指笛鳴らす羊飼ひ
70●春疾風今度は誰が攫はるる

71●春病みて水切り石の届かざり
72●蘖の健気に伸びて空青し
73●弘前の岩木山愛で花筏
74●ほろほろと初蝶来しよわが肩へ
75●南から順に橋の名花菜風
76●涅槃図は媚薬の匂ひ放ちたる
77●まんまるのオニキスのごと子猫の眼
78●黙祷の球場空に鯉のぼり
79●約束はすべて忘れて春は逝く
80●やまぶきは八重が大好き傘がない

81●龍となる飛行機雲や春夕焼
82●連弾や朱夏へと向かう風のごと
83●若き日に見た夢遠く風光る
84●若草を食む音高しヌートリア
85●山葵生う水一点の穢れ無し
86●私ゆえ仕方のないというミモザ
87●絮飛んでたんぽぽ組の頃の恋
88●藤棚や四人であやす産着の子
89●盲導犬じつと見上ぐる藤の花
90●行く春のものみな片方だけとなり

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164号・清記

 投稿者:葱男  投稿日:2018年 4月 1日(日)09時50分23秒
返信・引用
  A部門  全86句

01●青空へ帰りたいなと椿落つ
02●赤信号を突っ切ってゆく恋の猫
03●朝ざくら紅一点の剣道部
04●雨上がり青き空映ゆ春の風
05●アラビアの歯形の小瓶蛇出づる
06●有り余る男の時間荷風の忌
07●銀杏芽吹く空へと水を吸ひあげて
08●いつになく彼岸の風の匂ふかな
09●いつの間に春を迎えし並木道
10●凍返る母と触れたる父の顔

11●「イマジン」歌ふ路上ライブや鳥雲に
12●鶯も桜を愛でてホーホケキョ
13●うつすらと開く瞼をおさへけり
14●俯いて国臣像の見る桜
15●乳母車目一杯なるさくらかな
16●占ひの当たりさうなり春の月
17●大空や太古の頭して土筆
18●奥のおくその奥のおく春満月
19●幼ならはプロレスごつこ父を焼く
20●お日さまの大きく熟れて夕霞

21●朧夜の恋の媚薬を少し増す
22●表なる産着の縫ひ目初桜
23●買い替へし箸の軽さや囀れり
24●革命と恋に目覚めし桜かな
25●彼処にも家の解体春逝けり
26●風ありて耐へる誓ひの春彼岸
27●風光る窓辺に寄する車椅子
28●木と女花満開のツややかさ
29●車椅子押す腕の皺夕ざくら
30●クレヨンで書かれしメニュー花菜風

31●月末に散り初めに遭ふランドセル
32●現実の現実離れして朧
33●漉餡を舐め春愁の終ひたる
34●小走りのサラリーマンや葱坊主
35●狛犬の阿呍を過ぎる落花かな
36●子らのこゑ薺の花のかぎりなし
37●西行の硯の水の桜かな
38●囀りや平安京の空広ぐ
39●さくらさくら遠き昔のよく透けて
40●桜花下の芝生華やぐ犬追ふ子
41●桜花悲喜こもごもに見上げおり
42●さまよへる星とならばや花の夜は
43●四月馬鹿もやし発芽をとこしへに
44●子孫へと一本桜の夢も飛ぶ
45●自転車のブレーキ音や初桜
46●しやぼん玉割れて青空新しく
47●三味線に囀り混じる先斗町
48●春宵やキュビズムに崩(く)ゆ古代面
49●春闘でベアをトラんとタヌキする
50●春眠や顔の無い絵に引き込まれ

51●知らぬ顔しつつまことの桜人
52●送別の日にやはらかき双葉かな
53●段丘をとんと河原へ水草生ふ
54●近道は草の細道花の雲
55●着メロは猫踏んじゃった土筆ん坊
56●散り初めし桜一輪髪飾り
57●菜の花忌カーナビの道途切れたり
58●菜の花を霞草代はり三回忌
59●日直の腕章ま白チューリップ
60●入学の日にぽくぽくと木魚かな
61●認知症テストは桜ネコ電車
62●バスを待つ桜吹雪のロータリー
63●花筏果ては黄泉へと流れつく
64●花の冷ゆるりと動く聴診器
65●はらはらと桜に走るエロスかな
66●春暮るる太宰好みの跨線橋
67●春の海泣きたいならば泣けばよい
68●春の風足裏にやはらかき息吹
69●春の月過る機影のアンダンテ
70●春疾風玄界灘に心の帆

71●春夕焼叱られし日のナポリタン
72●飛花落下体内とほる微電流
73●ひとりづつ一つのベンチ鳥雲に
74●雛のすし厨の湯気も温かし
75●病床に春連れ集ふ子らの声
76●ほの紅く蘖の雨降りそぼち
77●まつさらの手帳の中で大朝寝
78●満開の花に万才すべり台
79●満開を見下ろす初音響く朝
80●目が覚めてまだ恋猫になりきれず

81●桃潤む庭より宙へ旅立ちぬ
82●憂うつな靴春泥をひた歩む
83●夕桜つくづく男やもめなる
84●寄り添へる夫婦の句碑や花こぶし
85●わが夢魔に抗らひ難し春の風邪
86●ワーキングメモリいづこや春暖炉

B部門  「風船」「融」  全句

01●青空へ赤い風船が運ぶ夢
02●青空を融け出してくる初音かな
03●赤い風船割れて絵本の中に居る
04●淡雪と融け合ふ君の目尻かな
05●イコールの謎融けてゆく春の夢
06●海静か島の子供と風船と
07●産土の訛り膨らむ紙風船
08●幼子と風船取りて門くぐる
09●朧夜の入浴剤の融ける音
10●朧夜やをんなこゝろの融解点

11●凱旋の古里の凍て融けにけり
12●かざす手に融けるがごとく花明り
13●かすむ日や金融街のキッチンカー
14●紙風船人見知りする子のほつぺ
15●歓声とジェット風船球場に
16●兄弟に風船二つ空見上ぐ
17●二合半(こなから)に融け合ふふたり木の芽時
18●ゴム風船バンと弾ける鳥曇
19●紺碧の空へ叩きし紙風船
20●春光に融けをり沖の漁舟

21●誕生日の風船抱き児は夢へ
22●地平線に融ける砂漠や朧月
23●沈黙へ融けゆくピアノの音朧
24●対島へと風船は行く手を離れ
25●椿より椿へ小鳥融け入りぬ
26●つり銭に添へて風船渡さるる
27●テレビの後ろ赤い風船しぼみけり
28●天井に風船一つ無人駅
29●「融(とおる)」舞ふ曽祖父在りし春の宵
30●翔ぶように風船弾み田原坂

31●七色の風船上げるブライダル
32●逃げ水や融通無碍にほど遠く
33●蜂飛ぶや金融資産御し難く
34●罰ゲーム用の風船膨らます
35●ハト型の風船白し鎮魂歌
36●花の雲夕陽の朱に融解す
37●花街へ融けゆく影や月おぼろ
38●花嫁へ風船シャワーとめどなく
39●春の雪想ひ出融かし消へゆけり
40●風船が空に弾んでゐたりけり

41●風船とアンパンマンとじじが好き
42●風船に迫る針あり刻一刻
43●風船に何を託すや花の森
44●風船に願いを込めた春の風
45●風船に結ぶ願ひの海を越ゆ
46●風船のあふれし空や印象派
47●風船の影ゆらゆらとついてくる
48●風船のキリンは首で鳴きにけり
49●風船の少し萎んでやはらかく
50●風船の中に風船ピエロの夢

51●風船の逃ぐるがごとく父逝けり
52●風船の爆ぜて背中のまるくなり
53●風船のびいびい鳴くや開幕戦
54●風船へ父かろがろと肩車
55●風船やてんでに走る小さき子ら
56●風船や人それぞれの紐を持つ
57●風船やわたしの息の浮かびたる
58●風船やわたしひとりでできるもん
59●風船を売る風船のやうな顔
60●風船を抱えて雨の芦屋川

61●風船を吸ひ込む空へ手をかざす
62●風船を放つ小さき罪悪感
63●風船を持つ子の春はすぐそこに
64●風船を持てば迷子の心地して
65●風船を割りたき心秘め眺む
66●物質のとろりと融けて朧かな
67●ふるさとの空を風船ながれゆく
68●ぺしゃんこの風船色の濃く赤く
69●街角の金融の文字新年度
70●ミッキーの風船ゆらり夜のメトロ

71●融資係の背中温めて春日差し
72●融雪に雁木忘れし人の笑み
73●融然として花を賞で酌み交はす
74●融通の効かぬ夢なり霾れり
75●融点の右側にゐて春の風
76●融点は真夏日かなと三月某
77●雪融けて隠れし芽にも陽が当たり
78●雪融けや日溜り雀零れたる
79●夢を乗せ色とりどりの風船に

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163号・清記

 投稿者:葱男  投稿日:2018年 3月 1日(木)06時26分28秒
返信・引用
  A部門  全87句

01●青鮫の遠ざかってゆく春の海
02●いくつもの墓石を越え鳥雲に
03●一休の講話を聞いて春の風
04●いつにしか古都の風格江戸の春
05●薄紅梅待遠しいという色に
06●薄氷のホース咥へる金盥
07●梅の香よ我が嗅覚衰へしか
08●エスカレーター螺旋に昇りゆく日永
09●江ノ電の駅前食堂しらす丼
10●江ノ電のハガキの列に梅一輪

11●蛙の子天然ぼけもよかりけり
12●鍵束の鍵に迷うて春灯 (はるともし)
13●風が鳴る春寒の外荒れ模様
14●風光る雲に金米糖の味
15●簪のやうに枝垂れて梅咲けり
16●関門の潮を跨いで春一番
17●黄水仙咲かせ仲よき老夫婦
18●キュルキュルと木々に鳥影風光る
19●茎立やからつぽのまま一斗缶
20●下船して人それぞれの春日傘

21●玄関の声に手をふる春の風邪
22●紅梅や民の増えたる字ありぬ
23●御所のうち喫煙場所に福貴の燈
24●コットンと水飲み鳥が春の水
25●桜東風鼻先に舌とどきけり
26●さへづりや少女フレンド回し読み
27●鰆焼くさわらないでと妻が云ふ
28●残雪の残りし山がそそり立つ
29●潮曇る沖を見てゐる寄居虫
30●受験子の固まって駅発ちにけり

31●受験子の脳は空つぽチャイム鳴る
32●春寒や口下手のまま東京人
33●春愁や心に描く海底都市
34●春泥に塗れしことも遠き夢
35●正体を知られる前に春障子
36●白壁の町並み低きひな祭
37●スーパーの試食で春に先んじる
38●盛大に雫生ましむ浅き春
39●青楼の柳は未だか夢の中
40●早春と言うふ風の中色の中

41●その一打春一番がいたずらす
42●「忖度」てふ死語生き返り亀鳴けり
43●内裏雛見下ろす阿弥陀くじの底
44●ため息が白煙のごと消え散りぬ
45●父逝きぬ問わず語らず寒椿
46●沈没船に磯巾着の孤独かな
47●土筆伸ぶ斜面まさぐる幼き手
48●吊革を十指わしわし春隣
49●鶴引くや歌ふごとくに経となへ
50●デカルトの貌となりぬる受験生

51●飛梅の宇宙を泳ぐメジロかな
52●南北をつなぐ漢江(ハンガン)薄氷
53●盗人の物音やもと春の雪
54●猫の恋いはんや人の恋をや
55●寝ころべば死んだ心地やあたたかし
56●残りたる土くれ昨日の雪だるま
57●野良猫の目の水色に春立てり
58●剥がれ落つ空の鱗やぼたん雪
59●裸木の曖昧な影膝に抱く
60●花嫁のベールをめくり春のキス

61●春風や音符に羽を二つ遣り
62●春の昼江ノ電過ぐる鳥居前
63●日当たりの良き配水所猫の恋
64●ひだまりのベンチにたむろ猫やなぎ
65●雛壇と供の祝膳迷ひ箸
66●百円に十円足して蜆汁
67●フクシマや母の草餅知らぬ子ら
68●ブラウスの胸にコサージュ歌の春
69●ブラインド越しの青空春めきぬ
70●古時計ぼんと鳴るなり春朧

71●文庫本春の鴎のごと開く
72●文集の和紙のぬくもり春灯
73●茫々と伸びし野梅の梢かな
74●ポケットに春を詰め込み鎌倉路
75●ほろほろと紅梅光り涙ほろ
76●磨き上げ艶めく銀や月朧
77●見つめらる瞳つぶらに春日さす
78●みんなして傘で突つつく薄氷
79●無回転シュートで届く春便り
80●ものの芽や残り少なき指定席

81●諸々の影を揺らして春の水
82●やはらかく光を撥ねり犬ふぐり
83●山鳩よ吾も一人の梅の客
84●許されぬ恋や紅白落椿
85●羊水に蠢く闇や春霞
86●蝋梅のただ咲ける庭空き家とす
87●わたくしは日に照らされて青き踏む


B部門  「春塵」「当」  全84句

01●朝目覚め春の埃として生きる
02●当りクジ取らぬ狸の春の夢
03●当たり前の顔して雛立ちてをり
04●当たり目をあてにあれこれ寒明けぬ
05●当て付けに仮病の猫や春埃
06●行く当てのなくて春星みな滲む
07●石狩の当別奥も春や待つ
08●薄氷指を当てれば離れけり
09●麗らかや弁当狙う鳶舞い
10●お御籤の小吉が当り春愁

11●お目当ての二月歌舞伎や七之助
12●覚悟して花粉に当る布団干し
13●欠け落つる判子の縁や春の塵
14●ガラス張りのスターバックス春の塵
15●気が付けば一人春塵舞ふ倉庫
16●草抜けば土くれ解る春埃
17●黒革の靴春塵を帰り来し
18●見当はついてゐるなり蕨採り
19●さや当ての笑顔の火花風光る
20●下萌や弁当箱にパンダの絵

21●枝垂れ梅日当る寺と当らぬと
22●ジャイアンに八つ当たりされ杉の花
23●春暁や当日券にくねる列
24●春塵に陽光の加勢ざわめきぬ
25●春塵の境内あゆむ当麻寺
26●春塵の旅の鞄に罪と罰
27●春塵の本散らばつて仮眠室
28●春塵の道を狭しと弘法市
29●春塵や当てずつぽうの恋占
30●春塵やエルサレムにも北京にも

31●春塵や円陣を解くスパイク音
32●春塵や職人街の豚テキ屋
33●春塵や通りがかりのロケ現場
34●春塵やたこ足配線ほどきをり
35●春塵や常呂ノトロにメダルあり
36●春塵や人一様に髪乱る
37●春塵や待てど開かぬ硝子ドア
38●春塵や路傍の石に詩の欠片
39●春塵や我は何もにもあらじ
40●春塵を切って団地の一輪車

41●春塵を吹き飛ばしけるメダリスト
42●春塵を巻上げている地平線
43●春塵を巻き上げ路面電車行く
44●春塵を巻くや馬上の人となり
45●順当に老いて朝湯やおらが春
46●ストーンの浅き当たりや春弾く
47●砂あらし行きて雨風一頻り
48●清明や当代一の晴れ姿
49●卒業の拳に拳軽く当て
50●宝くじ当たる予感に寒さ飛ぶ

51●溜り場にふらり立ち寄る春埃
52●突き当たる道は迷路や春遅し
53●霾るや当選番号組ちがひ
54●天気良し心地良き風春の塵
55●天金の書の春塵を払ひけり
56●電柱は地中へ消へて春の塵
57●当確の訂正画面おぼろ月
58●当番の子が菜を運ぶ春の雪
59●当分は旅の空です春一人
60●当来の世とて盛りの花ならむ

61●遠富士や望遠レンズに春の塵
62●取り敢へずビールと当たり目山笑ふ
63●野良猫の見当てる藪の蛇の色
64●春時雨かつ弁当を三個買う
65●春の風循環バスへ当てずつぽう
66●春の塵当り外れの問答あり
67●春の塵当てずっぽうの答えかな
68●春の塵冷たき風に舞ひ踊る
69●春の塵富士を隠して凪の海
70●春埃税務署に人並びけり

71●春ほこりブリキの猫の尾のらせん
72●春埃みちのくこけしの黒き髪
73●春めくや担当医師の微笑みも
74●春よ来い当たりはずれの幸ありて
75●日の当たる順にほころぶ梅の枝
76●別当を置きし太宰府梅真白
77●ヘッドフォン当てて胎児となる朧
78●弁当の桜でんぶや春隣
79●弁当の函の隙間の朧かな
80●本当に癌腫なのかと亀鳴けり

81●真っ当に咲いて山茶花赤き道
82●諸子散つて当て推量の的外れ
83●弓なりの日本列島春の塵
84●レシートの一片かごに春埃

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162

 投稿者:葱男  投稿日:2018年 2月 1日(木)05時34分4秒
返信・引用
  A部門  全句

01●淡雪や思い出せない今朝の夢
02●息白し舌喉胃までいのちの湯
03●居酒屋へ我を呼び込む雪だるま
04●凍て雪を鳴らす長靴心地良し
05●絵屏風の虎憚りて静かなり
06●絵筆落つ白鳥の首折れやすく
07●老いひとりラジオ聴きつつ冬の山
08●老猫に少女手をふる冬の暮
09●大雪と雖も雪国ならぬ街
10●落葉して宰府に残る古都の情

11●温泉の窓越し見ゆる雪吹雪
12●欠け瓦山茶花の散る戒壇院
13●風花や新語を探す広辞苑
14●風邪に伏し看病するは犬と猫
15●カーテンのすそ凍りつきたる朝
16●寒月に窓開け放ち相模灘
17●寒月や足袋を履かざる芸者衆
18●看護婦の名札はピンク日脚伸ぶ
19●寒雀追う子等ありて春隣
20●寒昴路傍の猫の動かざる

21●冠雪の富士不動にて迷い無し
22●寒椿一夜明くれば白の中
23●寒の雨チャリまたがり急ぎ足
24●寒晴や西郷(せご)どんの目にスカイツリー
25●寒弾の瞽女の項に光さす
26●着膨れて降りる手摺の蟹歩き
27●旧年に屠蘇杯を仕舞ひ込み
28●恋文のフォントを選ぶ春隣
29●古都の冬行けどゆけども一色に
30●再会の熱燗添ふる昼の膳

31●左義長の焔の奥の息遣ひ
32●殺人に使える氷柱物色す
33●三が日終わりし頃に悔いばかり
34●三寒のトンネル抜けて来る四温
35●塹壕で綴られし詩や冬の月
36●〆も良しスタートも善し小豆粥
37●しもやけの軍手が握る竹箒
38●ジャングルの湯桶の遠く響きけり
39●収集の記念切手や室の花
40●除夜の鐘孫と一緒に撞きにけり

41●新年が最終章と廃駅舎
42●墨一色の十字架の画や風凍つる
43●隅田川てくてくてくと春隣
44●すれ違い出来ぬ橋あり鴨の群
45●成人の笑うも泣くも晴れの日や
46●生徒チーム先生チーム雪合戦
47●背負投げ彼女にされて小正月
48●戦争の予感二月の日本海
49●底冷の長き廊下を教師急く
50●空を突く小さき拳冬木の芽

51●大寒や山の小僧がメール打つ
52●大根干す足のまばらに海の青
53●大志てふ道楽は捨て日向ぼこ
54●待春の鳥獣戯画に入りゆけり
55●高砂を謡ひ一献四方の春
56●鷹の舞ふ比叡を下る修行僧
57●妻の弾くショパンの響き冬薔薇
58●都府楼の礎石に立ちて雪の舞う
59●とりどりの色のマカロン春を待つ
60●七草を諳んじてゐる園の昼

61●何なんだこの世の中は大寒
62●猫の背にとまったままの冬の蠅
63●寝正月八卦占ふウェブサイト
64●年賀状当たり一桁泣き笑ひ
65●白菜や客の吐息とつぶやきと
66●化けても着飾っても河豚は河豚
67●バス停の遥かに遠き雪の道
68●春近し新宿の鳩人よけず
69●春隣きれいな嘘を書き連ね
70●春隣妻の背中のこゑを聴く

71●春待つや窓辺に寄せる母の椅子
72●ぴしぴしと寒さ絡まる通夜がへり
73●腑に落ちぬ言葉のみ込む冬木の芽
74●冬の日の赤くて海は茫ばうと
75●ポケットに口紅春はまだ浅く
76●耳なしのゴッホに届く虎落笛
77●もの言わぬ口一文字雪だるま
78●夕餉どき月食を待つ冬木立
79●雪降(お)りて平安京のあらはるる
80●雪搔きや筋肉痛のプレゼント

81●雪が降る日本海にも雪も降る
82●雪だるま家人の数に犬の分
83●雪だるまの胴囲を測る子ども達
84●雪吊りの松の向かふにスカイツリー
85●雪の来てかなしみの夜を明るくす
86●理髪屋のシャボンの匂ひ春隣

B部門 「水仙」「初」 全句

01●青白き十指初演も冬の朝
02●足跡も飛び跳ねており水仙花
03●天地を巡る水あり水仙花
04●一輪の水仙挿して妻は出る
05●いつの間に両手ふさがる初大師
06●インド人の掛け声響く初落語
07●海光る水仙の花揺るるたび
08●駅ビルに人あふれさせ初日の出
09●幼児や初雪踏みて不思議顔
10●オリオンの輝き秀で初老説く

11●外交のニュースぴくりと水仙花
12●書初や墨摺りあがるまでの無為
13●片足で玉(ぎょく)に立つ龍初明り
14●川べりに夕べのチャイム黄水仙
15●寒声を喚声に変へ初滑り
16●黄水仙水辺にありて誰想ふ
17●珈琲の冷めやすき日や水仙花
18●金堂の鴟尾に留まる初鴉
19●饒舌な傾げた首の水仙花
20●水仙に感染したる岬かな

21●水仙の花茎に柔きひかりかな
22●水仙の影を慕いて野母崎に
23●水仙の香を楽しみて座しており
24●水仙のきりきり匂ふ空家かな
25●水仙のくの字のままに咲みにけり
26●水仙の咲く台南に降り立てり
27●水仙の精となりたるおもかげよ
28●水仙の小さき吐息庭の隅
29●水仙のひそひそ話風に乗り
30●水仙のような男になれぬのか

31●水仙や海の面の照りかげり
32●水仙や桶に放たれ咲き始む
33●水仙や男は残す優しさを
34●水仙や「乙女の祈り」洩れ来る夜
35●水仙や覗けどわれの顔歪み
36●水仙や平身低頭して接写
37●千年の樟のにほひや初詣
38●大吉のくじを尻目に初みくじ
39●束ねたる髪の重しよ水仙花
40●竹林に遅れて来たる水仙花

41●地祭や更地に守る水仙花
42●積荷から水仙の香の広がりぬ
43●哲学の顔して来たり初鴉
44●灯台へのぼりくる香や野水仙
45●成田屋と目と目で話す初芝居
46●ねんごろに練墨溶いて初仕事
47●野水仙その揺れたるは独り言
48●ばあちゃんが飴玉くれる初市場
49●白鍵を上りつめたる水仙花
50●初明りメガネ外して歳時記を

51●初イタリアンシェフの娘はグー歳と
52●初風に乗り高々とゆく鴉
53●初釜に足袋の白さや弾む声
54●初鴉つき呼ぶワタリガラスかも
55●初句会他人に解せぬ恋一句
56●初景色日暮の雲も色を添へ
57●初恋に頬を染めしや梅の花
58●初恋の海冬晴れて沖に舟
59●初恋やあはあは消ゆる春の雪
60●初写真抱かれて眠る子を囲み

61●初空へ龍のかたちの波しぶき
62●初空や国境線に兵わづか
63●初旅や鴨居に空の衣紋掛け
64●初旅やサンライズ瀬戸から日の出
65●初富士や朝霧高原陽を浴びて
66●初詣絵馬一杯の願い事
67●初詣投げる賽銭願重し
68●初雪に腰を痛めて床に入る
69●初雪の流れつきたる夜に佇つ
70●初雪を握りしめては誓ふ朝

71●初雪をはらふワイパーはしやぎゐる
72●初夢や筑紫富士より海へ翔ぶ
73●初夢や雪しんしんと北酒場
74●膝折りて瓦礫にそつと水仙花
75●日の丸を立てて来るバス初雀
76●殖えるず減らず四人(よたり)の家族初笑
77●踏み足を前になぞるや水仙原
78●紅をさす如く黄を置く水仙花
79●包丁を研ぐ山姥の初噺
80●待人来ず失物出ずの初御籤

81●読初や本屋のソファ心地良き
82●落日の赤くて水仙の花白くて
83●露店はや片付いてゐる初詣


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161号・清記

 投稿者:葱男  投稿日:2018年 1月 1日(月)06時26分17秒
返信・引用
  A部門  全77句

01●熱燗にすべてを溶かし眠りたり
02●あの中に犯人潜む冬銀河
03●息白し紫煙と競い合う如く
04●凍星や女に出会うために来て
05●院長の手元から鳩クリスマス
06●うつし世の闇を切り取る冬の雷
07●風花やガラシャの墓の傷癒ゆる
08●飾り無き樹々に聖なるしじまかな
09●寒暁に淋しがりやの百羽ほど
10●元旦にセンターライン暫し闊歩

11●菊枯れて六郷満山黙の中
12●牛乳パックより氷海の吠ゆる音
13●クリスマスあちらこちらで楽しげに
14●クリスマス刺し子布巾の赤き糸
15●木枯らしを部屋にこもって聞き入りぬ
16●極寒の屋台にアイラ島の酒
17●極月の酒場昭和の男たち
18●極月の喉ぴりりと生姜飯
19●雑音の無い人うれしクリスマス
20●猿山のボスの眼に寒夕焼

21●七三に分けて天皇誕生日
22●霜の夜の恋の毒消しほろほろと
23●シャッターの上がらぬもあり街師走
24●十二月八日木彫りの象の牙の折れ
25●笑点のテーマソングや大根炊く
26●女子校へマフラーの列はしゃぎけり
27●白黒のつかぬ諍ひ懐手
28●水仙の雨滴を朝の光かな
29●少しだけ枯野の匂ひわが袂
30●瀬戸内の朝日の匂ふみかんかな

31●鷹の目の地球に沿うて滑りけり
32●宝くじ寒さに震え夢心地
33●短日の獏黙々と歩きけり
34●段ボール紙の馬小屋聖夜劇
35●茶の花や城に外国人並ぶ
36●凍結の路面しかりと松葉杖
37●遠ざかる列車の灯り白手套
38●冬眠を遅らせ参る里の熊
39●ドラムスのバチ狂ほしき寒夜かな
40●鳥の巣の一つ残して冬木かな

41●日記果つとりあえずまだ生きている
42●裸木の曲がりくねりのオブジェかな
43●初釜の蹲踞で下駄つんのめり
44●飛行機雲凍てて南北区切りけり
45●日雇ひの手配師ぬらり息白し
46●品格を問ふ唇や冬ざるる
47●福耳も千切れんばかり冬の朝
48●梟や目玉の中へ闇を吸ふ
49●ふところの猫の温みも聖夜かな
50●冬枯れて土中に潜む虫むしよ

51●冬銀河老いてこそ追ふ夢もあり
52●冬銀河屋根に屈折望遠鏡
53●冬の暮東京タワーにまだ日差
54●冬の月天文台は遥か下
55●冬のバスすずめ笑いの女子高生
56●冬の星予感当たりしこと二回
57●冬の夜屋台ラーメンうまし!!
58●冬帽子に小さきハートのやうな穴
59●振り返る吾に枯野の囁ける
60●ブロツコリ巨人大樹を齧るごと

61●誉められず叱られもせず去年今年
62●満身に夜のしじま受く年の暮
63●水鳥の頭上げ下げ去年今年
64●桃色に手のひら染めぬ冬椿
65●やぶ砂場まつや更科晦日蕎麦
66●闇黒に聖樹華やぐ宇宙船
67●夕凍むやアスファルト突く曲芸師
68●床を蹴るバッシュの音や冬の虹
69●雪女生身の女よりはいい
70●ゆく年や夢から醒めて夢と知る

71●湯煙を乳房に纏ひ山眠る
72●湯豆腐を今夜二人でつつこうか
73●呼び鈴の一度だけ鳴りしづり雪
74●礼状の届く年の瀬風の止む
75●我が家では冬 犬は内猫は外
76●笑ひ給へ酉のバトンの戌の年
77●吾に来よ冬のてふてふ来て止まれ

B部門 「年の夜」「足」 全73句

01●飽きましたホテル暮らしの年の夜
02●足跡に足乗せてゆく深雪晴
03●足繁く通った浜に降る雪ぞ
04●足代を上手に使ひ翁の忌
05●足遠くなりし古里年の夜
06●足長き少女走るや息白し
07●足延ばす島の食堂名は鰆
08●足元に冬の蠢く仁王像
09●足元に列なすポインセチアかな
10●足元のおぼつかぬらし雪の屋根

11●足寄から冬将軍も下り来る
12●熱燗や足らぬ会費に頬の染む
13●板の間に足袋を滑らす弓捌き
14●一合で足れる寝酒や除夜の鐘
15●いつせいに届く四文字除夜の鐘
16●一片の足りないパズル冬の星
17●運慶の彫り出す足や鐘冴ゆる
18●絵日記を拾い集めて年の夜
19●大晦日65回も無事越えて
20●思ひ出の星屑となる年の夜

21●かき揚げのふやけてゆける除夜の鐘
22●風花や壱の字薄れ下足札
23●数え日といへど付け足すことはない
24●勘定に入れぬ年末〆ラーメン
25●寒鰤の照り焼き母の大晦日
26●禁酒から解き放たれて年の夜
27●小走りに兄の背を追ふ除夜詣
28●混浴の足湯にありて冬温し
29●幸せを少し想いて年の夜
30●白足袋の尼僧の背(そびら)揺るぎなき

31●ジョバンニの足跡たどり冬銀河
32●除夜の鐘地震大国日本の
33●除夜の鐘撞きたし逸る子のリズム
34●聖堂に尺八響く年の夜
35●セーターに寝不足の顔突っ込みぬ
36●雪原を行くには息が足りなくて
37●その人はそこに居るらし年の夜も
38●足袋はいて昭和の人となりにけり
39●足らぬこと数多ありけり鶴渡る
40●足ることを知りて晩節葱甘し

41●つくづくに逃げ足早き十二月
42●灯油売るつれなき声や年の夜
43●年の暮安売り店まで足伸ばす
44●歳の瀬をゆらとゆらりと大掃除
45●年の瀬やしかして島は休漁日
46●年の夜の喧嘩納めや父と母
47●年の夜の消失点や大鳥居
48●年の夜の塵つかのまの星となる
49●年の夜の煮え切らぬ仲箸洗ふ
50●年の夜の見果てぬ夢の膝小僧

51●年の夜はつかの雨を待つ気なり
52●年の夜や朝まで回る山手線
53●年の夜や大欠伸する詐欺師たち
54●年の夜や終末時計なほ進む
55●年の夜や旅人として星数へ
56●年の夜や父の遺影の薄埃
57●年の夜やパンダは夢に森を行く
58●年の夜や灯に照る鱗龍の門
59●年の夜女々しい曲を聴いている
60●年の夜ラーメン売りの声響く

61●ハイヒール一足分の榾火かな
62●初霰仏足石に転げ込む
63●早足の往来したる聖樹の灯
64●飛行場のはるかに雲や年つまる
65●日脚伸ぶ靴は一足づつ揃へ
66●二人分足るか足らぬか年用意
67●冬の朝散歩の足は小刻みに
68●平成のそろり消え行く年の夜
69●まつさらな足もて嫁ぐ雪の朝
70●水鳥の足跡すこしづつ薄る

71●もう一品年の夜迫る厨ごと
72●雪の華一本足のフラミンゴ
73●竜の玉一言足りぬ子の言葉
74●列成すやいつもの店の年の夜

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160号・清記

 投稿者:葱男  投稿日:2017年12月 1日(金)06時29分12秒
返信・引用
  A部門  全87句

01●秋空やハルカスは北斎の青
02●朝霧の細道かき分け三江線
03●朝練の桜落葉を踏みゆけり
04●雨だれの音を集める花八手
05●石畳光りて寒椿の寺
06●何処より来たる名もなき大落葉
07●一切を蔵して黙の枯木山
08●失せ物のこんな所に隙間風
09●遠景に海近景に石蕗の花
10●落葉踏む静けさの中物思ふ

11●外客と終ひ弘法値厭はず
12●学問を離れ白髪の文化の日
13●風花の見つめないでと云ふがごと
14●風花や古書肆の額に謂はれあり
15●カーテンを開けても暗し石蕗の花
16●神渡し千は千尋にもどりけり
17●枯蘆や現実感なく月白く
18??枯葉踏み枯葉色して猫来たり
19●枯葉舞ふ風に身任せ吹かれ行く
20●寒林を支へたる影ぎざぎざと

21●刻まるる石より絵かきうた小春
22●期限切れしたるカイロのほのぼのと
23●着ぶくれて忘れ物したやうな顔
24●キャバレーへ焼き芋買って行きし日も
25●競売の五坪の更地冬に入る
26●銀杏のうす皮をむく忌なりけり
27●境内に仮設の高座冬紅葉
28●月光を掬ふには手が小さくて
29●仔犬つと走り病葉渇き音
30●「こどもランド」に少子化なんぞ小六月

31●小春かな只今源泉掘削中
32●小春日に黙して立てる楡の木々
33●小春日のテニスコートに影二つ
34●小春日や行脚の僧はスニーカー
35●小春日やカーテン開けて本を読む
36●小春日やきらきら光る試験管
37●子らのこゑ吸ふてしづかな雪のこゑ
38●混濁の術後の母に冬の風
39●山茶花やおはようただいまありがとう
40●さようなら最後の紅葉江の川

41●しぐるるやきりなく雨の輪のはじけ
42●時雨るるやサドルを覆うポリ袋
43●しゅんしゅんとお湯湧く音やストーブに
44●消防車逃げだしたのは雪豹です
45●セイシェルの夕陽のやうな蜜柑かな
46●整備士の顔の油や冬の鳥
47●空仰ぐ時は胸張りかいつむり
48●絶えず湧く冬の泉の神さびる
49●黄昏を乗せて冬濤遥かより
50●玉掴む龍のかぎづめ空也の忌

51●竹林の明るき小春日和かな
52●小さき目の知恵の限りや鳥渡る
53●てくてくと歩くあちこち菊花展
54●遠き山冬めく空にそそり立つ
55●年忘れ昭和末期と孫が言ふ
56●土鍋のこと父に聞きたし冬の星
57●飛石を 小春日和と擦れ違ふ
58●「どん底」の幕間に食らふ石焼き芋
59●習ひ事減らす冬日や母子像
60●化けて出て猫とならむや紅葉の夜

61●走り根のくの字くの字や冬日影
62●裸木や教えることは何もない
63●ビスケットにあまたの小穴笹子鳴く
64●河豚刺を梳けば白磁の色づきぬ
65●冬苺こぶしをしやぶる赤んぼう
66●冬梅やいい奴はみな先に逝き
67●冬銀河億光年へ鈴響く
68●冬銀河吐息大きく帰りけり
69●冬蝶は黄色が宜し日の表
70●冬薔薇ぼんやり見える程の良さ

71●冬の雲そのまま流れ小鳥翔ぶ
72●冬の虹映して牛の目は濡れて
73●冬の薔薇特別な日のアイライン
74●冬めく日集ふ仲間の今昔
75●便所より筑波の見えて寒日和
76●榾くべて山の男の車座に
77●骨一本折れたる傘や片時雨
78●ほろほろと豆富崩れて燗の酒
79●マフラーの吹かるるままに頑なに
80●三島忌の記憶を刻む砂時計

81●木菟の透視さながら凝らしをり
82●紅葉散る十円玉に平等院
83●紅葉晴きみは歌ひにでかけたり
84●雪降れば牛は柔らかな暗闇
85●行く秋の高原列車山近し
86●リーゼントびしっと決めて着ぶくれり
87●をみなごの耳朶の血潮や冬もみぢ

B部門 「ショール」「鉄」 全86句

01●赤信号君のショールに手を伸ばし
02●居酒屋に鉄斎の絵や時雨くる
03●うなじ見せ若草色のショールかな
04●襟巻きのほかほか嬉しバスを待つ
05●大きめの肩掛まとひうつらうつら
06●角打ちの漁師ショールの頬被り
07●風花や鉄瓶滾る隠れ里
08●肩掛けに顔を潜らす幼き子
09●肩掛けを粋にまとった冬めく日
10●肩掛けをしたまま孫の肩たたき

11●肩掛けをひよいと乗せ行く割烹着
12●肩掛けやほつれ毛にある白きもの
13●ガード下カランと凍つる鉄パイプ
14●枯芝を統べ鈍色の鉄亜鈴
15●寒月へ吠ゆ独房の鉄格子
16●寒晴れや国鉄生まれの古電車
17●傷口に鉄の味する神の留守
18●狐火や鉄の味する血をすすり
19●黒ショール演技巧者のエキストラ
20●轟音鉄路にこだます夜汽車かな

21●凩や煙立たない鉄の街
22●極貧に生きて桃色ショールかな
23●国境は鉄橋にあり革衣
24●時雨るるや鉄のオブジェに瑕二つ
25●女優めくショールの君や星さやか
26●ショールして急告の訃を回しけり
27●ショール巻く尼僧と出合ふ先斗町
28●ショール巻く急に人肌恋しくて
29●ショールもて守らむ君がマッチの火
30●すぐ乾く稚の涙や鉄道歌

31●芒原一直線の鉄路かな
32●雀色時ストールの首細し
33●ストーブに焼(く)べる鉄道唱歌かな
34●ストールをおさえ地下鉄乗る女
35●ストールを翼展ぐるやうにして
36●ストールを巻いて銀座の人となる
37●スマホ繰る優先席の赤ショール
38●それはそれで形見のショールぎゅっと巻く
39●大陸を跨ぐ鉄橋牡蠣喰らふ
40●箪笥より見つかる母のショールかな

41●地下鉄へ落葉ころころ吹かれ落つ
42●地平線へ延びる鉄路や冬の星
43●地平まで続く鉄塔雪晴るる
44●D51は鉄の塊風花す
45●デゴイチや秋を切り裂く鉄の道
46●鉄火丼の赤き山脈石蕗の花
47●鉄橋に行き交ふ列車寒の月
48●鉄切りの音焦げてをり雪催
49●鉄琴のいともきらびやかに響く
50●鉄柵に無言の鴉吊るし柿

51●鉄錆の効や黒豆箸映る
52●鉄ちゃんと言われて雪の列車待つ
53●鉄道に思ひ出残す卒業期
54●鉄道を乗り継ぎて行く冬の旅
55●鉄鍋のぬくもり求め大根煮る
56●鉄針の滲む刺青冬の蝶
57●鉄瓶に家督の重さ炭をつぐ
58●鉄瓶に湯気立ちそぞろ口ゆるむ
59●鉄瓶のでんと居座る雪の宿
60●鉄棒に下午の男ら木の葉散る

61●鉄棒の匂いや校庭冬ざるる
62●鉄棒の端にマフラー結はへあり
63●鉄棒や冬夕焼のおしやべり
64●冬帝や鉄分サプリのつぶ数多
65●何や彼や一巻きにして赤ショール
66●西鉄のまた泣き所冬の霧
67●にび色の空を欺く緋のショール
68●廃駅舎鉄路の向かふ冬の虹
69●廃線の錆し鉄路や冬蒲公英
70●廃線の鉄路錆しや枯葉舞ふ

71●白髪の黒きひとすじ毛のショール
72●初雪に肩掛けの列八卦置き
73●膝掛けを肩掛けにすや女子高生
74●ひと日終へ箱に納まる白ショール
75●冬ざれの鉄条網や基地の島
76●ふる里へ向かふ鉄路や冬帽子
77●冬ショール母のにほひのもう僅か
78●冬晴れの鉄腕アトム空高く
79●ふんわりと母の手編みのショール巻く
80●鉄道員(ぽっぽや)の娘(こ)への面影雪の夜
81●歩道橋鉄色滲む冬の星
82●マフラーを替えて今週始まりぬ
83●ほろ酔ひの真紅のストール歌ひけり
84●見上ぐればショールの母の眼の赤き
85●店仕舞終へてシヨールの女将かな
86●むき出しの鉄筋のある冬木立



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Re: こちらこそ!

 投稿者:葱男  投稿日:2017年11月14日(火)18時28分8秒
返信・引用
  葉脈に土の心音雪解風

イイ句ですねえー(^。^)

スライトリマッドさんへのお返事です。

> なるほど。ほんと春の季語のほうがぴったりですね?もしN捜査官が eletcro-bio-mechanical neutral transmitting zero synapse repositioner(ピカッ)を持ってたら、みんなに目くらまし→記憶を消し→春の投句に出す→きっと文句なしの第一席!私もきっと◎つけるでしょう。Men in BlackⅡだったかな。あの頃のトミーリージョーンズ若かった…。でもそれを上回る句が出て来る可能性もありますねえ。

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